米企業の「脱中国」加速へ=本国回帰は期待薄か-トランプ関税
- 国際
- 2019年9月1日
【ワシントン時事】米中両国は1日、双方からの輸入品ほぼすべてに制裁・報復関税を広げる「第4弾」を順次発動する。
コストの割安な中国で生産体制を拡充してきた米国企業はサプライチェーン(供給網)の抜本的な見直しを迫られる。来年の再選を狙うトランプ大統領は「中国からの撤退」と「米国への生産移転」を訴えており、米中経済の分断に拍車が掛かるのは必至だ。
「経営下手の軟弱な企業が関税のせいにしている。言い訳だ!」-。トランプ氏は8月30日にツイッターで、第4弾の発動見送りを求める米産業界にいら立ちをあらわにした。中国事業に熱心な米自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM)について「今再び米国への移管を始めるべきではないのか?」と投稿。景気先行き不安の責任を企業経営に転嫁し、米国への生産移転を促した。
米中貿易戦争の長期化で米国の多国籍企業は供給網の見直しを本格化させており、こうした動きが加速しそうだ。米国は第4弾で、中国から仕入れる米アップルのスマートフォン「iPhone(アイフォーン)」に12月15日から制裁関税を課す見込み。対する中国は、米国製輸入車への報復関税を復活させる構えで、米製造業には打撃だ。
ただ、コストの割高な米国への生産移転はさほど進みそうもない。在中国米商工会議所の調査によると、中国以外への生産移転を検討もしくは既に一部移転したと回答した企業は全体の4割を占め、代替先候補は東南アジアが約25%、メキシコが約10%。再選に向け実績づくりにひた走るトランプ氏は8月23日、大統領権限を使って「米国回帰」を強制的に促す案にまで言及した。予測不能なトランプ氏に振り回され、米国企業は引き続き厳しい経営環境に直面することになる。
一言コメント
勝者なき争いのような気もする。
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