なでしこ、さあW杯 命運左右するのはボール保持
- スポーツ
- 2019年6月11日
サッカー女子のワールドカップ(W杯)フランス大会で、10日(日本時間11日未明)に1次リーグ初戦を迎える日本代表「なでしこジャパン」。2日のスペインとの親善試合でW杯前の強化試合を終えた。W杯イヤーで見せ続けたなでしこの強みは、高い技術と創造性に裏打ちされた攻撃力。弱みとする守備のクロス対応に特効薬はなく、ボールを持って攻撃する時間をいかに長くできるかが上位進出のポイントになりそうだ。
0-1と敗色濃厚だったスペイン戦の後半41分、なでしこらしい美しいゴールが生まれた。起点は左サイドでボールを持ったチーム最年少19歳の遠藤(日テレ)。ボランチの杉田(INAC神戸)がDFラインの裏へ抜けて遠藤からの浮き球のパスをダイレクトでゴール前へ送ると、遠いサイドへ詰めてきたFW菅沢(浦和)がやはりダイレクトで押し込んだ。スペインの守備陣に対応する隙を与えない、流れるような連続のワンタッチプレーだった。
高倉監督が「得点は取れるチーム」と分析するように、国際サッカー連盟(FIFA)ランク7位のなでしこはW杯イヤーに対戦した1位の米国、2位のドイツ、3位のイングランド、4位のフランス、10位のブラジル、13位のスペインとの6試合で、無得点はイングランド戦のみ。米国、ドイツ、ブラジルからは複数得点を奪った。
1勝3分け2敗の成績が幸運に思えるほど、試合内容では世界の強豪に圧倒された。ただ、ボールを支配されても数少ないチャンスをゴールに結び付けてきた決定力は際立ち、ボールを持つ時間を増やせればチャンスもゴールも増やせるはずだ。
攻撃の核となる長谷川(日テレ)がスペイン戦後に「ボールを回す時間帯を増やせれば、もっとチャンスにつなげられた」と話したように、W杯ではボール保持時間の長短がなでしこの命運を左右する。
クロス対応という守備の課題は残っている。スペインはテクニカルなパスサッカーを繰り広げる“大柄のなでしこ”といったチームカラーで、なでしこが苦手とするゴール前へボールをほうり込むような攻撃をあまりしてこなかった。
しかし、W杯では弱点を徹底的に突かれるのは確実。両サイドの突破を許し、ゴール前へ走り込む複数の大柄な選手へクロスを上げられるというような場面は極力、作られたくない。そのためにも自分たちでボールを持ち、相手の攻撃機会を可能な限り、削りたい。
主将のDF熊谷(リヨン)は「自分たちがボールを持たないと苦しくなる」と表情を引き締めた。セカンドボールの奪い合いで後手を踏むのも、不用意なパスでボールを失うのも禁物だ。決して簡単なことではないが、攻撃は最大の防御にもなる。
1次リーグD組のなでしこは10日(日本時間11日未明)、FIFAランク37位のアルゼンチン戦で2大会ぶりの優勝へ向けた挑戦をスタートさせる。
一言コメント
まずは予選突破だ。
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