貴景勝が1日で再休場 右膝回復せず、名古屋場所はカド番へ…大関以上の再休場は初
- スポーツ
- 2019年5月20日
右膝負傷を抱える新大関・貴景勝(22)=千賀ノ浦=が夏場所9日目の20日、再休場することが決まった。貴景勝は4日目(15日)の御嶽海戦で右膝を痛め「右膝関節内側側副靱帯(じんたい)損傷で約3週間の加療を要する」との診断書を提出して翌5日目から休場。痛みが引いたと8日目に再出場を果たしたが、小結・碧山相手に簡単にはたき込まれ3勝3敗2休。思うように体が動かないことから、休場を決断した。2度目の再出場は難しく、名古屋場所(7月7日初日・ドルフィンズアリーナ)はカド番大関で臨むことになる。
やはり千秋楽まで土俵に上がり続けることは難しかった。再休場―。貴景勝が苦渋の決断を下した。再出場して敗れた8日目の取組直後は「(明日以降も)出られると思ったら出る」と気丈に振る舞っていたが、国技館をあとにすると、師匠・千賀ノ浦親方(元小結・隆三杉)と相談し、周囲にも休場の意向を伝えた模様。大関以上の再休場は、引退をのぞき、15日制が定着した1949年以降では初となる。
主役となるはずだった夏場所は、2006年夏場所の白鵬以来の新大関Vを狙ったが、4日目の御嶽海戦で暗転した。突き押しの貴景勝には珍しくもろ差しの体勢のなると、投げを打った際に右膝を負傷。寄り切って1敗は守ったが代償は大きく、取組後は右足を引きずった。「痛めてない。大丈夫」と強気な言葉を並べたが、打ち出し後に休場を決断。翌日、病院で検査を受けて診断書を日本相撲協会に提出して休場した。
約3週間の加療を要するとの診断から千秋楽まで休むと考えられていたが、複数の専門家による治療、高圧酸素カプセル、注射を打つなどし、本人が師匠に「大丈夫です」と申し出て8日目からの再出場を決めた。大関以上の再出場は前師匠だった横綱・貴乃花(元親方)の2003年初場所以来で、大関に限れば1951年春場所の汐ノ海以来と極めて異例だった。
強行出場には、多くの親方衆ら関係者から今後の相撲人生を心配して否定的な声も挙がった。貴景勝は「休む勇気と言うけど休むのは簡単。自分の中で出られるのに出ないのはおかしい」と土俵に戻ってきたが朝稽古も行わず、ぶっつけ本番で再出場。4年ぶりにテーピングを巻いた膝は痛々しく、無意識に右足を気にするなど、いつもの違う姿で碧山に屈した。
大きな体の力士、そして馬力ある突き押しが武器の貴景勝にとって、膝は生命線。これ以上無理をして悪化すれば、今後の力士人生に大きな影響が出てしまう。名古屋場所はカド番となるが、再起に向けて、まずはしっかり治療することが最優先となる。
◆貴景勝 光信(たかけいしょう みつのぶ)本名・佐藤貴信。1996年8月5日、兵庫・芦屋市。22歳。兵庫の名門・仁川学院小、報徳学園中を経て埼玉栄高へ。旧貴乃花部屋に入門して2014年秋場所で初土俵。16年夏、新十両。17年初、新入幕。18年初、新小結。18年秋場所後、師匠の退職伴い、千賀ノ浦部屋に転籍。小結だった18年九州で22歳3か月、年6場所制定着(58年)以降の初土俵で年少6位となる初優勝。今年の春場所後に新大関に昇進した。175センチ、160キロ。得意は突き押し。
一言コメント
名古屋場所での再起を期待したい。
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