北朝鮮 経済発展戦略の全容判明「脱中国依存」 露と関係強化
- 国際
- 2019年4月21日
北朝鮮の経済戦略や目標を記した「国家経済発展戦略(2016~20年)」の全容が判明した。技術開発や貿易多角化により年平均8%の経済成長を目標に掲げるほか、経済面での中国依存から脱するためにロシアなどとの経済関係を強化すると明記している。いずれも経済制裁が維持されたままでは困難で、金正恩朝鮮労働党委員長が2月の米朝首脳会談でトランプ米大統領に制裁解除を強く要求し、また今月下旬にプーチン露大統領と会談する背景に、この発展戦略があるとみられる。【米村耕一】
北朝鮮が極秘指定する「国家経済発展戦略」と、その方針に基づき今年の課題を示した1月21日付の文書「内閣決定第2号」を、韓国通信社ニューシス元東京特派員で北朝鮮研究者の趙允英(チョユニョン)氏が入手した。発展戦略は16年5月の第7次朝鮮労働党大会で提示されたが、詳細な内容や数値目標は公表されていなかった。
発展戦略は全157ページ。北朝鮮経済の現状について、電力や石炭の生産水準が低く、食糧や生活必需品も国内需要を満たせていないと指摘。その上で「経済発展戦略実現のための対策」として、技術開発、貿易多角化、そして事実上の経済改革を意味する「新たな経済管理方法の全面導入」の3点を挙げた。
特に貿易多角化では、「中国一辺倒から脱し、対外貿易の方向をロシアと東南アジア、中東など各国へと拡大する」との目標を掲げた。中でもロシアとの貿易額は20年には10億ドル(約1100億円)に引き上げるという。韓国側統計では17年の露朝貿易額は7784万ドルで10倍以上を目指していることになる。
また水力発電所などの建設に必要な資金をロシアから引き出し、金策(キムチェク)製鉄所や茂山(ムサン)鉱山などの設備を改修するための技術協力もロシアから受けると明記されている。また、日本海沿いの経済特区にロシア企業の投資を呼び込むとの案も記されていた。こうした点について露朝首脳会談で協議される可能性もありそうだ。ただ、いずれも国連安保理決議による制裁が障害となる。
一方、発展戦略に日本に関する記述はないが、「内閣決定第2号」では、「第32回五輪(東京五輪)参加資格獲得につながる競技をはじめとする今年の国際競技で、金メダル約50個を含む計180個のメダルを勝ち取る」との体育部門での目標が記されていた。内閣レベルでも東京五輪にできるだけ多くの選手を送ろうとの方針が確定しているとみられる。
一言コメント
ロシアもしたたかだよ。
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