「統一選」は名ばかり 実施わずか27%
- 政治・経済
- 2019年4月4日
前半戦の投開票(7日)が間近に迫った統一地方選で“不統一”が進んでいる。全自治体の首長・議員選挙のうち、統一選で実施される選挙の割合を示した「統一率」。総務省の最新の集計(3月10日時点)によると、19回目となる今回の統一選の統一率は27.27%。前回までの統一選の実績と比べると過去最低だ。名ばかりの実態を解消するには、辞職や議会の解散といった手段をとったり、法整備をして首長・議員の任期を延長や短縮させたりする必要があり、そのハードルは高い。(有年由貴子、地主明世)
■導入時は100%
「急に4選挙の同時実施が決まりドタバタした。50年前はパソコンのない時代なので開票作業などすべて手作業だったはず。本当によくやっていたなと思う」
大阪市選挙管理委員会の担当者はしみじみ話す。同市では、市長と大阪府知事の辞職に伴い、知事▽府議▽市長▽市議-の計4選挙が同日程で実施される。4選挙の実施は昭和46年以来48年ぶり。当時の詳細な作業記録は残っておらず、選管関係者はポスター掲示場所や投票用紙の確保など準備に奔走した。
だが、統一選とは本来こういったもの。導入された昭和22年の統一率は100%だった。
だが、早くも3回目(30年)には40%台に急落。その後も市町村合併や議会の解散、首長の辞職などに伴い選挙日程がずれる自治体が増加し、統一率は下落の一途をたどる。総務省によると、今回の統一率は3月10日時点の集計で27.27%。内訳は首長選が12.92%、議員選が41.61%となっている。
■10億円を削減
選挙には、投開票所を運営する人件費や広報費がかかる。統一選の利点の一つはコスト削減だ。20年ぶりに知事選と府議選が同日実施される大阪府の試算では、“不統一”の場合と比べ約10億円の削減が見込まれる。
また、全国一斉に選挙を実施すれば有権者の関心が高まり、選挙日程がばらけると関心が下がる。
佐賀県知事選の場合、県議選と同時だった平成23年4月の投票率は59.41%だったが、知事の辞職で平成27年から単独実施となり、前回(30年12月)は35.26%まで低下。県議選も60.20%(23年4月)だったのが前回(27年4月)には50.92%に下落し、それぞれ過去最低を更新した。
同県選管の担当者は「全国的に投票率は低下しているが、単独実施が影響していることも確かだ」と分析する。
■再統一に課題
統一選から外れた日程を元に戻すには、首長・議員の任期を延長したり短縮したりしなければならず、法整備が必要だ。議会の自主解散や首長の辞職という手段もあるが、現実的には難しい。
過去には政府・自民党が「再統一」を議論。全自治体を「4年に1回」に合わせるのではなく、その年に行われる地方選挙は同年の10月にまとめる案を検討したが、「導入時に首長や議員の任期を変更しなくてはならないため、意見がまとまらず実現しなかった」(自民党本部)。
また、23年の東日本大震災の影響で選挙日程がばらける自治体が出て、再統一の要望も上がったが、地元議会内の足並みがそろわず見送られた。
総務省選挙部の担当者は「選挙時期を統一するに越したことはないが、法律で規定する任期を変えるのは民主主義の根幹にも関わることで、課題が多い」と話している。
■地方自治に詳しい法政大の広瀬克哉教授の話
「住民が全国一斉に、最も自分たちに身近な地方の課題について考える時期を設けることは重要だ。現在は認められていないが、首長・議員の任期のずれが6カ月以内であれば自治体が選挙期日をそろえられるなど、柔軟な運用ができるよう法整備していくべきだ」
一言コメント
そういや最近は選挙ばっかりだ。
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