パナソニック社長「8Kテレビは様子見」 米CESで取材に応じる
- 企業・経済
- 2019年1月12日
【ラスベガス加藤美穂子】パナソニックの津賀一宏社長は、米ラスベガスで開かれた家電IT見本市「CES」で毎日新聞などの取材に応じ、超高精細の8Kテレビについて「様子見だろう」と述べ、当面参入しない意向を示した。主なやり取りは次の通り。
――存在感を増すプラットフォーマーとどう付き合うか。
◆プラットフォーマーが生活に無くてはならない存在になったのは事実だが、我々は違う領域でサービスを提供できると思っている。スマートスピーカーのように、音声でできることは限られている。暮らしに関わることはそんな簡単なものではない。暮らしとプラットフォーマーの関係は確立されていない。
――昨年秋に「パナソニックは暮らしアップデート業になる」と宣言したが、韓国のサムスン電子とLG電子も同様の分野に力を入れている。
◆住宅には韓国だけでなく、さまざまなメーカーが注力している。家電に人工知能(AI)を付ける、ネットワーク接続するのは第一段階と思っている。これからの時代は、お客様が暮らしの中で自分が思った形に近づけることを自ら楽しむようになる。サムスン、LGになくて我々にあるのは住宅設備。8Kや曲がる有機ELのディスプレーは確かにすごいかもしれない。我々はぐっと我慢して原点に戻って、お客様に必要なものは何か考えていかなければならない。
――AI、5G(次世代高速移動通信規格)に対する戦略を聞きたい。
◆AIは使い方によって価値を生んでいく時代になると思う。我々はAIベンチャーも買収して技術者育成もしているが、だからといってAIが技術の柱として優位性を持つとは思っていない。技術の一つだ。5Gは通信を必要とする自動車で必要だと思うが、アンテナ技術、チップセットがあれば端末はだいたいできる。ここも技術の優位性で勝負する領域ではないと思っている。「他社がやらないことが技術の本筋」が個人的な見解だ。
――昨年秋のフォーラムで「自問自答のトンネルを抜けた」と言っていた。今の課題は何か。
◆「暮らしアップデート業」を打ち出しても、パナソニックがすぐ全面的に変わるとは思っていない。しかし、打ち出さないとこのままでは10年先はない。既にあるマーケットの中でより良いものを出すだけでは、価格競争で中国製にお客様が流れる状況から抜け出せない。新しいヒット商品を作ることがこれまでの発想だったが、大きなパナソニックを支える商品がそう簡単に生み出せるとは思わない。そこからリセットしなくてはならない。
――8Kについての考えは。
◆大人数で見るようなプロジェクターの4K、8K対応なら注意していきたい。しかし、パネルという領域なら放送も含めて限られていて、様子見だろう。
――米国と中国でカンパニー(社内分社)を設立する。
◆カンパニーは今まで産業構造にあわせて作っていた。しかし、どこで成長性があるかというと間違いなく中国。どこでイノベーションが起きるかといえば米国で起きる。今までのカンパニー制では成長とイノベーションの変化に対応できない。中国の事業を一体化して中国の成長に向き合う。
――(米電気自動車メーカーの)テスラとの今後の協業関係をどう考えているか。
◆(イーロン・マスク最高経営責任者の言動が問題となり)昨年は確かに心配したが、チャレンジするテスラに我々がサポートするという基本姿勢は変わらない。少なくとも(初の普及価格帯車の)モデル3は順調だ。
一言コメント
海外展開にも積極的だね。
コメントする