「女性向け風俗」の世界を覗いたら、自分が「男」だと実感した【カリスマ男の娘・大島薫】
- 政治・経済
- 2017年4月11日
見た目は美女でも心は男――。「カリスマ男の娘」として人気を博し、過去には男性なのに女優としてAVデビューを果たした大島薫。女性の格好をしたまま暮らす“彼”だからこそ覗ける、世の中のヘンテコな部分とは?
先日、レズビアン風俗に取材をした。
これは自分の名前を冠しているニコニコ生放送とFresh! by AbemaTVの「大島薫ちゃんねる」というネット番組の企画だ。ネットでしかできないキワどい内容と、同性間でのアレコレや、ビジネスネタを取り扱うのを主旨としているのだが、今回はその番組でレズビアンに着目。その場で見聞きした話を、改めてこちらでもレポートしたい。
東京都内に実はレズビアンの女性向け風俗というのは、わりと存在する(とはいっても、数件程度)。その中でも最近注目を集めているのが、去年の4月にオープンした「レズビアン東京」さんだ。在籍女性は30人ほど。店長曰く「需要よりも供給側であるキャストとして入店したい女性が後を絶たない」のだという。
普段は女性以外絶対に利用できないのだが、今回取材ということで特別に”男性”のボクがキャストをホテルにお呼びすることを許可していただいた。
到着したのはツバサさんというショートカットの似合うかわいらしい感じの女性。見ようによっては少年っぽくも見える。風俗店で勤めているというのに、本番中の顔出しを快く承諾してくださった。
⇒【画像】はコチラ https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=1315014
◆ずっとイチャイチャするだけで終わるお客も多い
お店で働いたきっかけや、ツバサさん自身の性体験などをお伺いする中で、一番衝撃を受けたのは「結構な数の女性客がセックスを目的としていない」ということだ。
ツバサさん曰く、「ホテルに呼ばれてもコース時間が終了するまでずっとイチャイチャしているだけで終わる女性や、話すことで満足する女性がほとんど」なのだという。風俗店とは性欲を満たすための場所という固定観念を持っていたボクは、自分のことをどこまでいっても「男」なのだと気付かされた。
性欲というのはつまり、男性ホルモンだといえる。男性ホルモン、つまりテストステロンの濃度と性欲の強さというのは、医学的にもエビデンスの取れている事実として受け入れられてきた。つまり、男性ホルモンが女性よりも多い男性のほうが、性欲は強いはずなのだ。逆にいえば、女性は基本的には男性より性欲がないといえる。
じゃあ、そんな性欲のない女性に向けての風俗を始めた場合どうなるのだろう? そもそも需要が少ないので、そんなことは思考実験的な質問になってしまうのだが「レズビアン東京」は違う。ちゃんと現実に女性に向けての風俗をやっている。
すると、女性たちはむしろ性欲とは違った理由で女性を“買い”始めた。もちろん大なり小なり女性に興味のある女性たちだが、そこで満たされるのは性欲ではない。有り体にいえば「癒し」や「心の不安の解消」なのだろう。
押し殺してきた女性に対する興味や、肌を触れ合わせたいという欲求。そういったものを受け入れてくれる人を、いつでも呼ぶことのできる場所。それがレズビアン風俗。
◆女性客はほかのキャストに“浮気”をしない
「私は男性向けの風俗も経営しているんですが、このお店を始めてから驚いたのは、女性客は他のキャストに浮気をしないところなんですよ」
とは、店長さんの言葉。なるほど、聞けば聞くほど男性が風俗に求めるものとは違って見える。できることなら多くの女性と身体を交わしたいと思うのは、男性の本能だとよくいわれる。子孫繁栄の視点が違うからだ。女性は長きに渡り子育てをしなければいけないからパートナーを逃さない工夫をするが、男性は種を付けてしまえば他の女性を探したほうが子孫を増やすのには効率がいい。
ボクはたまに自分の「男」にうんざりする。一時の性欲を優先して、愛情のない相手と性行為におよんだり、性的な目線で誰かを傷付けてしまった経験をする度に、自分のどうしようもない「男」を見せつけられて、自嘲気味になってしまう。
「でも、たまにガッツリ性欲で来るお客さんもいるんですよ(笑)」
ツバサさんはそう言って笑う。さてさて、それもどこまで過激なことだといえるのやら。
この見た目になって、男性の恰好のときよりかは女性のことをわかってきたつもりでいた。そこらの男性より女性の気持ちはわかるほうだろう、と。しかし、実際のところ、ボクは「男」以外の何者でもない。女性にはなれないし、女性の気持ちは一生わからない。わかったフリが上手になっただけだ。女性のフリが上手になった今のこの見た目のように。
【大島薫】
作家。文筆家。ゲイビデオモデルを経て、一般アダルトビデオ作品にも出演。2016年に引退した後には執筆活動のほか、映画、テレビ、ネットメディアに多数出演する。著書に『大島薫先生が教えるセックスよりも気持ちイイこと』(マイウェイ出版)。大島薫オフィシャルブログ(http://www.diamondblog.jp/official/kaoru_oshima/)。ツイッターアカウントは@Oshima_Kaoru
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