ブラックアウト1カ月 北海道警戒、迫る冬の需要期 電力供給回復もリスク潜在
- 政治・経済
- 2018年10月6日
最大震度7を観測した北海道の地震から6日で1カ月。大規模な土砂崩れを引き起こした地震動だけでなく、直後の全域停電(ブラックアウト)も北の大地を揺るがした。北海道電力は休止していた発電所を稼働させるなどして供給力を回復したが、冬に向かう被災地では気温が低下。電力需給も厳しい時期に入る。
◆老朽火力の故障懸念
北海道では、道内最大の火力である苫東厚真(とまとうあつま)火力発電所の1、4号機を当初見込みよりも大幅に前倒しして再稼働するなどした結果、電力需給はひとまず安定化。ただ、道内の電力需要が最も増えるのは冬場だけに老朽火力などの故障リスクに目を配る必要がある。
苫東厚真4号機(70万キロワット)と、地震前から点検作業で停止していた知内火力2号機(35万キロワット)が9月25日に再稼働したことで、平均的なピーク供給力は461万キロワットを確保。北電が想定する10月のピーク需要(415万キロワット)を上回っている。
5日朝には苫東厚真がある厚真町などで震度5弱の地震が起きたが、再稼働済みの1、4号機とも問題がないことが確認された。さらに、苫東厚真で残る2号機(60万キロワット)が現行の予定通りに今月中旬にも再稼働すれば、供給力は521万キロワットに拡大する。
だが道内では、暖房や融雪器具がフル稼働する冬場が電力の最需要期になる。昨年度冬季のピーク需要は今年1月25日の525万キロワット。冬場のピーク需要をどうカバーするかが、これからの最大の課題となる。
北電は、地震前から定期点検中の苫小牧火力1号機(25万キロワット)や関連会社が持つ苫小牧共同火力(25万キロワット)の復帰を進める。これらを加えれば、供給力は571万キロワットとなる。
また、現在は建設中で来年2月に営業運転を開始する予定の石狩湾新港火力1号機(56.94万キロワット)が今月中に試運転に入る予定だ。ただ試運転のため、供給力としてどう位置付けるのか今のところ明確ではない。
◆頼みの「北本連系線」
気がかりなのは、需要が最も増える冬場に向けて、発電設備が想定外で止まるリスクだ。道内の電力危機を受けて政府や北電は、既に休止や廃止の予定だった老朽火力も動員。他の発電設備でもトラブルが起きる可能性は絶無ではない。
このため、北海道と本州を結ぶ送電線の「北本連系線」(容量60万キロワット)について、50万キロワットを緊急時に備えた予備力としている。
一言コメント
暑くても寒くても電力需要は高くなる。
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