マイナス金利、地銀を直撃=大規模緩和の副作用拡大
- 企業・経済
- 2018年9月15日
安倍政権の経済政策「アベノミクス」の中核となった日銀による超低金利政策は、輸出企業の業績改善に寄与した一方で、人口減少にあえぐ地方銀行など地域金融機関の業績悪化を加速させた。
特に日銀が2016年2月にマイナス金利を導入して以降、地銀は貸出金の利ざやが稼げず16年度決算で全国の地銀の過半が貸し出しなどの本業で赤字に転落。その後も業績は悪化しており、副作用が深刻になりつつある。
全国地方銀行協会の柴戸隆成会長(福岡銀行頭取)は12日の記者会見で「収益の先行きに強い懸念を持っている」と強調。さらに「(大規模緩和が)続くと銀行システムや金融仲介機能への副作用が大きくなってくる」と警戒感を示した。
政府・日銀は、大規模な金融緩和で、銀行から企業への融資が増えれば、景気回復につながると期待。米国よりも低い金利を背景に、外国為替市場で円安が進み、輸出企業の収益拡大という効果はあった。
しかし、地銀にとっては本業の稼ぎである企業への貸出金利と預金金利の利ざやが縮まり、業績悪化のスピードが加速。地銀の多くは保有株を売却するなどして純利益を確保したが、このような埋め合わせをいつまでも続けることはできない。
日銀は、地銀への副作用について「現状は顕在化していない」(黒田東彦総裁)との立場だ。地銀の抱える構造的な問題は、仮にマイナス金利を解除しても解決するわけではなく、地銀の収益を賄えるだけ金利が上昇すれば経済全体に悪影響を与える恐れもあるからだ。
一方、金融庁は今年度に入って、17年度決算で7年ぶりの赤字に転落した福島銀行に対し業務改善命令を出した。赤字決算で命令を出すのは異例だが、構造改革への動きが鈍く危機感が欠如している地銀各行に警鐘を鳴らす狙いがあるとみられる。アベノミクスの目指す地域活性化を実現するためにも、地銀の収益基盤強化は急務だ。
一言コメント
潰れる地銀も出てくるのか?
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