企業に秘匿特権導入 公取方針 独禁法改正へ布石
談合やカルテルなどの疑いで調査を受けた企業が弁護士とのやり取りを秘密にする「秘匿特権」について、公正取引委員会が実質的に認める方針を固めたことが2日、関係者への取材で分かった。公取委は証拠隠滅に悪用される恐れがあるとして導入に消極的だったが、自民党や法曹界が求めたため、秘匿特権を委員会規則に盛り込む。日本では初めて認められることになり、秘匿特権導入をめぐる攻防で議論が停滞していた独占禁止法改正の布石となりそうだ。
秘匿特権は企業と弁護士のやり取りを当局に秘密扱いとし、裁判の証拠から除外できる権利で、欧米では広く認められている。
関係者によると、公取委が導入を検討している秘匿特権は、(1)企業への立ち入り検査の際、企業側が「この文書は弁護士とのやり取りが記載されている」などと主張すれば、その場で封筒に入れて封印(2)検査を担当する審査局以外の公取委職員が内容をチェックし、実際に弁護士とのやり取りだと確認されれば企業に返還する-という流れだ。
導入に消極的だった公取委が方針転換した背景には、独禁法改正案をめぐる与党などとの攻防がある。改正案は、企業が談合などの違反行為を公取委に自主申告した場合に課徴金が減免される課徴金減免(リーニエンシー)制度の見直しが柱。調査に協力的な企業の課徴金は減らし、悪質な企業には増やす「裁量型課徴金」を導入する方向で検討が進められている。
昨年末の自民党の競争政策調査会では、方向性に異論は出なかったが、「企業側の防衛権」として秘匿特権の法制化を求める意見が強く、日本弁護士連合会も「秘匿特権がないのは海外当局との関係でも整合性が取れない」(弁護士)として導入を要求。結局、法案提出には至らなかった。
公取委は今回、秘匿特権を委員会規則に盛り込むことで実効性を担保し、独禁法改正のハードルを下げる。公取委幹部は「法制化ではないが、現実的な解決策となるはず」としている。
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どっちがいいのか悩むね。
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