「防災省」争点に…石破氏主張、岸田氏ら消極的
- 政治・経済
- 2018年7月23日
9月の自民党総裁選で、災害対応に特化した省庁の設置の是非が、争点に浮上しつつある。西日本豪雨を受け、出馬に意欲を示す石破茂・元幹事長が「防災省」創設の持論を前面に打ち出しているためだ。党幹部から賛同する声も出ている。
石破氏は21日の富山県南砺市での講演で、「災害大国の日本で専任の大臣がいなくていいのか」と述べ、防災省設置の必要性を強調した。
現行の防災相は他の閣僚ポストと兼務するのが通例で、小此木防災相は国家公安委員長も兼ねている。防災や災害対応は、内閣府や国土交通省など複数の府省庁にまたがっている。
石破氏は、現状では内閣府などの担当職員の経験が蓄積されにくいとして、約3年前から防災省設置を唱えてきた。今回の豪雨発生後はほとんどの講演や会合の場で言及している。防災省は「安倍首相との違いをアピールできるテーマの一つ」(石破氏周辺)との事情もあり、総裁選でも主要政策に位置づける意向だ。
援軍も現れた。竹下総務会長は16日、京都府内で被災地を視察後、「防災庁」設置の必要性に言及した。竹下氏が率いる第3派閥の竹下派は総裁選の対応を表明しておらず、石破氏との接近と見る向きもある。
一方、ほかの「ポスト安倍」候補は消極的だ。
岸田政調会長は21日、山形市で記者団に、自治体や消防などの具体的な連携が必要だと指摘した上で「組織をつくるかどうかは落ち着いて考えるべきだ」と述べた。野田総務相も「役所を作ったから自然災害が減じられるという単純な話ではない」と冷ややかだ。
政府の危機管理を巡る関係副大臣会合は2015年3月、新たな防災組織は「積極的な必要性は直ちに見いだしがたい」とする報告書をまとめた。首相の連続3選へ動く菅官房長官は、17日の記者会見で報告書の内容を引用し、否定的な見解を示した。
首相周辺は、防災省設置を巡る議論が、今回の政府の災害対応が不十分だとの批判につながることを警戒している。首相に近い議員からは「石破氏は聞こえのいいことを言って改革姿勢を強調しているだけだ」と批判する声も漏れている。
一言コメント
総裁選、盛り上がるんだろうか。
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