「石丸動画」に高まる期待 「政治を変えて」幅広い層から献金も
- 政治・経済
- 2025年1月16日
石丸伸二・前広島県安芸高田市長が15日、東京都内で地域政党設立会見に臨んだ。石丸氏の名前を全国区に押し上げたのが都知事選だ。選挙戦最終日の2024年7月6日。JR東京駅前の広場を埋め尽くした聴衆を前に、石丸氏が「全員で東京を動かして、日本を動かしてみせましょう」と呼びかけると、拍手と歓声が湧き起こった。都内在住の男性会社員(63)もその場にいた一人だ。
男性は石丸氏が市長時代に動画投稿サイトで視聴し、存在を知った。「政策が分かりやすく、ブレがない」。都知事選中に計5回、街頭演説を見に行った。「東京駅前は熱気がすごかった」と振り返る。都内出身だが、石丸氏が唱える「一極集中から多極分散」に賛同し「地方が衰退すれば日本自体が成り立たなくなるのでは」と語る。
「今までの選挙はこれという人がいなかった」と話す都内在住の女性(79)も動画投稿サイトで石丸氏を知り、都知事選で街頭演説を見に行き、寄付も行った。「将来に不安がある。石丸さんには政治を変えてほしい」と訴える。
石丸氏はメガバンク勤務を経て、20年の安芸高田市長選で初当選。議会と対立する様子や定例記者会見での記者とのやり取りを映した動画が注目を集め、市の動画投稿サイトの公式チャンネル登録者数は一時、人口のおよそ10倍の約29万人に増えた。
市によると、就任前の19年度は2億4587万円だったふるさと納税寄付額は、任期中の23年度には倍近い4億4562万円に。「動画を拝見しました」という応援メッセージも目立ち、動画を集金につなげる力はこの頃から表面化していた。
都知事選に立候補後も石丸氏はまめに動画を配信。選挙運動費用収支報告書には、1万円未満の献金や、「主婦」「会社員」「ぜんざい屋」など多様な職業の人からの寄付の記録が並び、3選を果たした小池百合子氏に次ぐ約165万の得票につながった。
都議選でも石丸氏は候補者の「SNS発信に最大限協力する」と表明した。ただ都知事選のような風が再現されるかは未知数だ。【山下俊輔、島袋太輔】
毎日新聞より転用
コメントする