国際宇宙ステーションから5年にわたり空気が漏れ続けているのに原因不明、アメリカとロシアで危険性の見解も分かれる
- 国際
- 2024年11月20日
2024年11月13日、NASAのISS諮問委員会が開催され、同年9月にモスクワでロシアの担当部局と会談した内容が詳しく議題に挙がりました。主な懸念として議論されたのはズヴェズダ・サービス・モジュールのPrKで発生している空気漏れで、過去には「クルーの安全やISSの運用に今すぐ影響を与えるものではない」と判断されたものの、5年間原因不明で継続している問題となっています。
以下は、JAXAによるズヴェズダ・サービス・モジュールのイメージ。「ザーリャ」に近い方には「移送区画」と呼ばれる接続部や宇宙飛行士用の設備がある「作業区画」があり、反対側がPrKを含むドッキングポートのある「移送チャンバ」となっています。
2024年9月にNASAの監察総監室(OIG)が発表した報告書では、「宇宙ステーションの他の場所では漏れは見られなかったが、漏れの原因として、両機関は内部と外部の溶接部に焦点を絞った」と述べられています。OIGによると、2019年に初めて検知されてから、2024年始め頃には過去最高値となる1日当たり1.7kgの空気漏れが確認されたとのこと。その後の修理作業で空気漏れは抑えられたものの、依然として1日600gは空気が漏れ続けています。
カバナ氏によると、PrKの空気漏れについて、ロシアの技術者らは微小振動による「高周期疲労」が原因だと考えているそうです。一方でNASAは、圧力や機械的ストレス、金属部品製造の過程でしばしば発生する残留応力、モジュールの材料的特性、環境への露出状態など複数の要因が関係していると考えており、両機関の意見は一致していません。
カバナ氏によると、ロシアの宇宙開発を担当するロスコスモスとNASAとでは、空気漏れの原因に対する見解だけではなく、問題の深刻さについても合意が得られていないそうです。カバナ氏は「NASAはPrKの構造的完全性と壊滅的な故障の可能性について懸念を表明しています。ロシアチームは漏れ箇所の捜索と封印を続けているものの、PrKの壊滅的な崩壊は現実的ではないと考えています。ロシアは作戦継続が安全だと信じていますが、我々が納得できるほど証明できません。一方で、アメリカはPrKが安全ではないと考えていますが、ロシアが納得できるほどそれを証明できていません」と述べています。
GIGAZINEより転用
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