陸自敷地内で隊員に性暴力 元自衛官有罪判決 「上司の立場を悪用」
陸上自衛隊の敷地内で部下だった女性隊員にわいせつな行為をしたとして強制わいせつの罪に問われた1等陸尉だった元自衛官の竹中裕亮被告(34)=依願退職=に対し、名古屋地裁は懲役3年・保護観察付き執行猶予5年(求刑懲役3年)の判決を言い渡した。7日付。吉田智宏裁判官は被告について「犯行の要因は女性に対する認知のゆがみがあった」と述べた。
この事件は、元自衛官への性暴力問題が発覚したことを受け、防衛省が2022年に全隊員を対象に特別防衛監察を実施するなど再発防止に取り組むさなかに起きていた。竹中被告が所属していた陸上自衛隊第10師団(名古屋市守山区)は「すでに辞めた隊員なので、コメントする立場にない」とした。
判決によると、竹中被告は23年6月3日夜、陸上自衛隊の演習場で20代の女性隊員を抱きしめるなどの暴行を加えた上、女性の胸を触ったり、女性に自身の下半身を触らせたりした。
判決は「上官の立場にあることを利用し、被害者が拒絶の態度を示したのに犯行を継続した」と指摘。「上官から突然理不尽な被害を受けた被害者の精神的苦痛は大きい」と断じた。
竹中被告が昨年12月11日付で停職7カ月の懲戒処分を受けたことなどを量刑で考慮した。ただ、被告が「(被害女性が)同意してくれるだろうと思った」と供述したことを問題視。判決は「女性への認知のゆがみの是正の必要がある」として、性犯罪者処遇プログラムを受講させることが相当だとの判断を示した。(奈良美里、前川浩之)
朝日新聞社より転用
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