がけっぷちの伊藤美誠、逆転パリ切符へ「平野美宇+2勝」が条件…「決着の全日本」登場へ
- スポーツ
- 2024年1月26日
22日から東京体育館で行われている卓球の全日本選手権は、26日の4回戦からシード選手が登場する。最大の注目は、パリ五輪出場権を懸けた女子シングルス。長い選考レースもこの大会が最後で、平野美宇(木下グループ)と伊藤美誠(スターツ)の「みうみま」の熾烈な「2位争い」が決着することになる。選考レースを独走する早田ひな(日本生命)に次ぐ「残り1枠」を巡る行方をまとめた。(デジタル編集部)
今から10年前の2014年3月、中学1年生だった平野と伊藤が大きな注目を集めた。2人がペアを組み出場したワールドツアー「ドイツ・オープン」の女子ダブルスで、大人たちを破り優勝したのだ。ともに13歳でのダブルス優勝は、男女を通じて世界最年少記録だった。その後はシングルスでも2人は数々の実績を残してきた。
ただ五輪を巡る歩みは対照的だ。伊藤は団体要員で出場した2016年のリオ大会で銅メダル、前回東京大会では、混合ダブルスで史上初の金を獲得、団体で銀、シングルスで銅メダルと大活躍し、日本卓球界の顔となった。一方の平野は、初の五輪出場が前回の東京大会。そこでもシングルスでは出られず、団体のみの出場にとどまった。今度こそシングルスで、という意気込みは強い。
パリ五輪の選考レースは、2年前の3月から始まった。代表選考ポイントの獲得状況は、平野は早田の790・5点に次ぐ2位の486点。伊藤は451・5点で平野とは34・5点差がある。
今大会の獲得ポイントは別表の通り。優勝者には120点が与えられることから、伊藤の逆転も十分に可能だが、それほど簡単ではない。
平野や伊藤のようなシード選手にとっての初戦は4回戦。そこで勝って5回戦に進むと、10ポイントを得る。伊藤はまず、34・5ポイント以上を獲得しなければならず、4、5、6回戦を勝ち抜いて8強入りし、50ポイントを獲得することが最低条件だ。
また、1勝ごとに得られるポイントは、最大で30点だから、伊藤が逆転するためには、平野よりも二つ多く勝たなければならない。伊藤と平野は決勝まで当たらない組み合わせになっているが、例えば、伊藤が優勝したとしても、平野が決勝に進めば、その時点でパリへの道が途絶える。伊藤は平野を自分以外の誰かに倒してもらわないと逆転はできず、がけっぷちに立たされていると言える。伊藤は「最後まで諦めはしない。挑戦者の気持ちで戦う」と覚悟を示し、平野は「最後は絶対に自分が行くんだっていう強い気持ちを持って全日本を戦い終えたい」と話す。
では、どんなシナリオが想像できるか。代表選考ポイントの上位者が順当に勝ち進めば、平野は28日の準決勝で早田と対戦。早田に勝てば、自力で五輪切符の獲得を決められる。一方の伊藤は準決勝でポイントランキング4位の木原美悠(木下グループ)を破り同じ日の決勝に進んだうえで、決勝で早田を倒せば、逆転でのパリ行きとなる。選考レースを独走する早田と戦うことがあれば、そこでの勝敗が2人の運命を決めることになるのかもしれない。
読売新聞より転用
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