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台湾、立法委員選も激戦 「ねじれ」発生で新政権不安定化も


台湾では立法委員(国会議員)の選挙(定数113)が総統選と同じ13日に投開票され、各党は総統選と連動した激しい戦いを繰り広げている。与党・民進党と最大野党・国民党に加え、第三勢力の台湾民衆党が存在感を発揮。どの党も過半数の議席を獲得できなければ、新政権で議会との間にねじれが発生し、スムーズな運営が難しくなる可能性がある。

 「国のエンジンである立法院(国会)での力が足りなければ前進できない。どうか総統選での勝利と過半数の議席を与えてほしい」

 3日、北部・新北市の第12選挙区で開かれた民進党現職の頼品妤(らいひんよ)候補(31)の選挙集会で、総統候補の頼清徳副総統(64)が呼びかけると、集まった支援者は「当選、当選」の合唱で応えた。頼副総統は6日にも集会に訪れるなど、台湾メディアによると計7回この選挙区に入って応援を重ねた。

党主席(党首)でもある頼副総統が、これほど重視するのは「今回の選挙を象徴する激戦区の一つ」(台湾紙記者)だからだ。頼品妤氏は前回2020年の立法委員選で、同選挙区に民進党から出馬。当初先行していた国民党候補を得票率1・5ポイント差でかわして初当選した。前年に香港のデモを抑圧した中国への警戒感に後押しされ、民進党が総統選、立法委員選ともに勝利した典型的なケースとされる。

 だが今回は、国民党市議の廖先翔(りょう・せんしょう)候補(35)の挑戦を受ける。国民党は選挙区内にある頼副総統の生家に持ち上がった数十年前の「違法建築」疑惑などで攻勢を強化。次々に幹部も投入し、4日に応援に入った朱立倫主席は市場で買い物客や店主らと握手を重ね、「鍵となるこの議席を取らなければならない」と訴えた。

 激戦は全8議席を民進党が独占する南部・高雄市にも及ぶ。高雄6区では昨秋、男性立法委員(3期)に中国籍女性とのスキャンダルが発覚。急きょ、市議の黄捷(こう・しょう)候補(30)に白羽の矢が立った。これに対し、国民党市議の陳美雅候補(53)は腐敗した民進党から政権交代すべきだと主張。「4年前とは有権者の意識が一変した」と自信をみせる。

 民衆党は若者に人気の高い総統候補の柯文哲(か・ぶんてつ)・前台北市長(64)を前面に出し、比例代表(定数34)を中心に議席の上積みを図る。2大政党がともに半数の議席を取れなければ、民衆党がキャスチングボートを握ることもあり得る。

 民進党は16、20年の立法委員選でともに過半数を獲得。蔡英文政権は安定した政権基盤を背景に、米国からの武器購入や年金改革などを進めてきた。専門家からは「少数与党の政権になれば、対中政策を含めてさまざまな面で停滞が起きる恐れがある」との指摘が上がっている。【台北・林哲平】

立法委員選挙

 小選挙区(定数73)、比例代表(同34)、先住民枠(同6)からなる。1院制で任期は4年。現有議席は民進党62、国民党37、台湾民衆党5、時代力量3、その他5、欠員1。

毎日新聞より転用


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