中国がEV電池素材「黒鉛」を輸出規制…輸入の9割占める国内メーカー、対応急ぐ
- 政治・経済
- 2023年12月2日
【北京=山下福太郎】中国政府は1日、黒鉛(グラファイト)の輸出規制を発動した。日本は電気自動車(EV)向けリチウムイオン電池の材料などとして、輸入量の約9割を中国に頼っている。調達が今後、滞る恐れもある。
純度や強度、密度の高さといった一定の要件を満たす黒鉛と関連製品を対象としている。輸出事業者は、輸出管理法などに基づき、中国商務省の許可が必要になる。 中国商務省は、「特定の国や地域を対象としておらず、規定を満たせば輸出は許可される」との見解を示している。ただ、日本の経済官庁幹部は、半導体製造装置などハイテク分野で対中輸出規制を強める米国や日本を念頭に置いた対抗措置との見方を強めている。
輸入する日本のメーカーは対応に追われている。三菱ケミカルグループは、主に中国から黒鉛を輸入し、香川県でリチウムイオン電池の負極材を生産している。当面は在庫で対応できるが、輸入が止まれば、調達先の変更を検討する。
日産自動車は現状、影響が出ない見通しだが、取引先に在庫の積み増しや代替調達先の検討を進めるよう依頼している。パナソニックホールディングスの電池事業子会社は、安定調達を図るため、黒鉛の鉱山を持つカナダ企業と連携を図る。
中国は8月に先端半導体の材料となるガリウムやゲルマニウムの輸出規制を導入した。10月末からはEVのモーターに使うレアアース(希土類)の輸出管理を強化している。
読売新聞より転用
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