「五輪は電通にしか」自負とおごり 電通の談合検証委が報告書
- 政治・経済
- 2023年6月10日
電通本社に入る東京地検特捜部の係官ら=東京都港区で2022年11月25日午前9時58分、猪飼健史撮影© 毎日新聞 提供
東京オリンピック・パラリンピックを巡る談合事件で、電通グループは9日、外部弁護士らによる調査検証委員会(委員長・池上政幸元最高裁判事)から報告書を受領し、公表した。報告書は「五輪は電通にしか成し得ない」という自負やおごりがあり、法令順守リスクに対する感度が鈍くなっていたと原因を分析し、組織風土の改善を求めた。
報告書は、電通から多くの従業員が組織委に出向していたのに、利益相反の観点から電通と出向者との間で情報を遮断するような措置が適切にとられていなかったと指摘。クライアント(顧客)の懐に飛び込んで信頼関係を構築する姿勢が電通の競争力の源泉とした上で、「過剰なまでに『クライアントファースト』を偏重する組織風土から、リスクへの配慮がおろそかになった」と結論付けた。
事件では、大会組織委員会が発注したテスト大会の計画立案業務の競争入札で不正な受注調整をしたとして、法人として電通グループなど6社、個人として電通元スポーツ事業局長の逸見(へんみ)晃治被告(55)ら7人が独占禁止法違反(不当な取引制限)で起訴された。検証委は、2月末から電通幹部ら39人を聴取。刑事裁判が始まっていないことなどから詳細な事実認定は避けた。
電通グループの五十嵐博社長は「社会に対する責任意識と透明性を高め、自分たちが守るべきルールを明確にすることが必要不可欠だと考える。不退転の覚悟で改革に取り組む」とコメントした。【井口慎太郎】
毎日新聞より転用
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