「首相気取りか」茂木氏主導に不満 旧統一教会の被害者救済
- 政治・経済
- 2022年11月19日
© 毎日新聞 提供 会談に臨む自民党の茂木敏充幹事長=国会内で2022年11月18日午後1時55分、竹内幹撮影
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の被害者救済に向けた新たな法案をめぐり、自民党の茂木敏充幹事長が協議への関与を強めている。自ら野党と交渉し、与野党協議を自民ペースで進める狙いがあるとみられるが、新法制定をめぐっては「与野党幹事長」「自公立維」「自公国」など協議体が乱立し、自民党内からも「幹事長が前面に立ち過ぎると逆効果になるのでは」(ベテラン)との声も上がる。
「これは政府としての紙です。首相も含めての(見解)と理解してください」
国会内で開かれた6党幹事長・書記局長会談で茂木氏は、政府に代わり野党側の質問に答えた。閣法と呼ばれる政府提出法案について、国会提出前に野党に内容を示すことは異例。野党側からは「政府の代表者気取りか」などとやゆする声も出た。
新法をめぐっては当初、10月21日に始まった自民、公明、立憲民主、日本維新の会の4党実務者協議で意見集約が図られた。だが、マインドコントロール(洗脳)下での高額寄付規制などを盛り込んだ野党案の採用を求める立憲、維新と「野党案は憲法に抵触する恐れがある」と反対する自民、公明の溝が埋まらなかった。
議論の着地点が見えないなか、岸田文雄首相は今月8日、被害者救済に向けた新法案の「今国会提出」を目指すと踏み込む。これを受け、茂木氏は翌9日、立憲、維新に加え、国民民主党、共産党の幹事長らとも相次ぎ会談し、早期成立への協力を要請。幹事長レベルで交渉を主導する構えに転じた。
茂木氏は18日、記者団に「今後も実務者協議は議論を深めてほしい。だが各党幹事長含め党全体で責任を持ち、プロセスを進めるべきだ」と語った。今国会中の提出と成立を期すため、協議を幹事長レベルに上げることで、政策決定を早めることが茂木氏の狙い。野党ペースの交渉の主導権を取り戻す思惑もあるとみられる。
ただ、党内の非主流派からは「ポスト岸田を狙った実績作りだ」との冷ややかな声も上がる。新法制定をめぐっては、自民党内にも「これまでの4党協議は何だったのか」との不満はくすぶる。野党も「途中から自民の幹事長が入ってきたが、4党協議の本線を守る方が現実的だ」(立憲の安住淳国対委員長)と態度を硬化させた。4党協議の自民実務者の一人は新法の行方について「茂木さんに聞いてくれ」と肩をすくめた。
毎日新聞より転用

コメントする