文在寅政権が強制送還していた脱北者、引き渡し時に激しく抵抗…処刑した北は「捕まるだけ」と宣伝
- 国際
- 2022年7月14日
【ソウル=上杉洋司】韓国の左派・文在寅(ムンジェイン)前政権が2019年11月、北朝鮮からの亡命希望の男性2人を板門店(パンムンジョム)で引き渡す際、激しい抵抗があったことを示す写真を韓国統一省が12日、公開した。
■拘束・目隠し 激しく抵抗
保守の尹錫悦(ユンソンニョル)政権は、左派の前政権が北朝鮮におもねって人権を無視していた「証拠」を示し、自らの正当性をアピールする狙いとみられる。
公開された写真は計10枚で、顔はモザイク処理済みだった。韓国当局者が数人がかりで男性の両腕をかかえて歩かせたり、男性が抵抗してしゃがみ込んだりする様子が写っている。保守系紙・朝鮮日報によると、2人は両手を縛られ、目隠しをしたまま板門店に連れて行かれた。北朝鮮に引き渡されるとわかり、1人は顔が血まみれになるほど、何度も壁に頭を打ち付けたという。
韓国大統領府の報道官は13日、「強制的に送還したならば、国際法と憲法に違反する反人道的行為だ」と述べ、真相を究明する方針を強調した。
統一省によると、2人は20歳代。日本海を漁船で南下して韓国に入り、19年11月2日に韓国当局に捕まった。文政権は、2人がいじめの報復として同僚ら16人をハンマーなどで殺害したと発表。亡命の意思は信頼性に欠けるとして、7日に北朝鮮に引き渡した。聯合ニュースによると、通常数週間行う取り調べが異例の短期間で終わった。2人は北朝鮮で処刑され、北朝鮮当局は、事件について「脱北しても捕まるだけだ」と住民に宣伝したという。情報機関・国家情報院(国情院)は今年7月6日、男性の調査を短期で打ち切ったとして徐薫(ソフン)元国情院長を職権乱用罪で刑事告発した。
韓国憲法は、北朝鮮住民も韓国国民と位置付ける。当時、文氏は北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)・朝鮮労働党総書記との会談を模索しており、朝鮮日報は13日の社説で「南北首脳会談のため、亡命した漁民の命を金正恩にささげた」と批判した。文政権の与党だった左派系最大野党「共に民主党」は、「政治報復」だと反発している。
読売新聞より転用
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