ポーランド、避難民の偽情報に苦慮 ロシア関与か
- 国際
- 2022年3月9日
【ジェシュフ(ポーランド南部)=板東和正】ロシアによるウクライナ侵攻でポーランドへ逃れてきた人々のうち、アジアやアフリカ系の避難民が国境周辺で犯罪行為を行っている-との偽情報がポーランド国内で蔓延(まんえん)している。アジア・アフリカ系脱出民の一部は中傷や暴行を受けるなどしており、ポーランド政府は対応に苦慮。外国人排斥を訴える同国の極右団体が偽情報の発信源とみられるが、ロシアの関与を疑う声もある。
ウクライナ国境近くのポーランド南東部プシェミシルで今月1日、ウクライナから逃れたインド人3人が何者かに暴行されたと英紙などが報じた。ウクライナから越境してきた中東やアフリカの人々も「国に帰れ」などと暴言を浴びせられたという。
事件を受け、ポーランド警察当局は「(避難民による)強盗や強姦といった犯罪行為が発生したとの大量の偽情報が流れている」とし、地元住民に注意喚起の通知を出した。英紙ガーディアンなどによれば、警察当局は国境沿いで脱出民による犯罪増加は報告されていないとした上で、極右団体が偽情報を流していると警告した。
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によれば、ウクライナから周辺国に避難した人々は8日までに200万人に上り、ポーランドには半数程度が流入している。
専門家の間では、今回の偽情報は、避難民を受け入れるポーランドを不安定化させようとするロシアの世論操作との見方も浮上している。ポーランドの安全保障問題の専門家、ビエタ・ゴルカ・ウインター氏は現地メディアに「ポーランドに移民が洪水のように押し寄せるという噂をロシアの情報機関が流している。(右翼的な思想を持つポーランド)国民が動かされている可能性がある」と指摘した。
ポーランド政府によると、国内では今、ウクライナから脱出した特定の人種をポーランド政府が不当に扱っているとの偽情報も流れている。ポーランド外務省は2日、「ポーランドは出身国に関係なく、すべての人々を助けている」と強調、偽情報に惑わされないよう呼び掛けた。
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