英、石炭火力24年9月末で廃止へ 1年前倒しで気候変動対策を加速
- 国際
- 2021年6月30日
英政府は30日、国内の石炭火力発電所の廃止時期を2024年9月末に1年前倒しすると発表した。廃止対象は温室効果ガスの排出削減措置が取られていない石炭火力で、これまでは廃止時期を25年としていた。英国は50年に温室効果ガスの排出量実質ゼロを目指しており、石炭火力の廃止を早めることで取り組みを加速する。
英政府は既に石炭火力を含む化石燃料エネルギー部門への海外投資をやめている。石炭火力の廃止については、ジョンソン首相が20年2月に廃止時期の前倒しに言及しており、政府として方針を正式決定した。早期に廃止時期を含めた関連法を成立させるとしている。
英国は11月に議長国として国連気候変動枠組み条約第26回締結国会議(COP26)を開く予定で、自国が踏み込む姿勢を示すことで、他国にも気候変動問題について一層の取り組みを促す狙いがある。COP26のシャルマ議長は声明で「COP26を前にした英国のクリーンでグリーンな未来に向けての力強い一歩が、世界中の仲間への明確なシグナルになることを願っている」と述べた。
英国は先の主要7カ国首脳会議(G7サミット)でも議長国を務め、脱炭素化の議論をリード。国内では風力発電を中心とした再生可能エネルギーが拡大しており、電源に占める比率は20年に43・1%に達している一方、12年に4割を占めていた石炭火力の比率は1・8%まで下がっている。英政府によると、20年は5000時間(約208日)にわたって石炭火力を使わずに済んだという。原子力の比率は16・1%。【ロンドン横山三加子】
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