大谷翔平、エンゼルス低迷続けばトレード? 状況次第ではFA前の“破格オファー” も
- スポーツ
- 2021年6月2日
大谷翔平(エンゼルス)はメジャーリーグ全体を見渡しても、特別な存在になりつつある。
渡米当初は懐疑的に見られていた二刀流だったが、メジャー4年目で本格的にブレークの予感が漂う。今やチームの中心として投打で結果を残し称賛を浴び続けている。
「存在感は今やトップクラス。チームにとって投打で欠かせない選手。ジョー・マドン監督自ら、完ぺきな野球選手と認めている。象徴的だったのは試合当日に登板回避したアスレチックス戦。目先にこだわらず、中心選手を大事に使いたいがための選手起用だった」(ロサンゼルス在住スポーツライター)
5月27日(以下、日付は全て現地時間)、交通渋滞のためホテルから球場へのバス移動が不可能となり、急遽、電車移動に変更。球場入りが遅れることとなり、定時でのルーティーンができなくなった大谷の先発登板が回避された。
「DH制を使わず投打での出場になるため、投手、野手両方の試合前準備が必要。パフォーマンス発揮のため、そして故障予防から疎かにできない。前もって様々なトラブルは想定していたはずで、チームとして混乱はなかった。大谷も翌日の登板で負けはしたが、好投して試合は作った」(ロサンゼルス在住スポーツライター)
翌28日に大谷は投手専任で先発し、6回0/3を投げて被安打3、5奪三振、自責点3の内容だった。今季初黒星を喫したが、これまで7試合に先発して、防御率2.72と安定したピッチングを見せ、36回1/3の投球回に対し、三振はイニングを大きく上回る50個を奪っている。打つ方でも現在ア・リーグの3位の15本塁打を放つなど、投打でトップクラスの成績を残し、野球の本場のファンを唸らせている。
「26歳という年齢を考えても、ここからピークを迎えて5年は計算できる。またエンゼルスのビジョン次第では、契約期間内でもトレードの可能性もある。グラウンド内外で、ここ2年の大谷からは目が離せない」(MLBアジア地区担当スカウト)
昨年オフ、大谷はメジャー3年目を終え年俸調停の資格を得たが、調停を回避して2年総額850万ドル(約9億3000万円)で契約を延長。21年は300万ドル(約3億3000万円)、22年は550万ドル(約6億円)でプレーすることになった。
新型コロナウイルスの影響で、メジャー各球団の収益も大幅に減。選手の年俸も削られ、平均年俸は19年の405万ドル(約4億4400万円)から159万ドル(約1億7000万円)になった。このような状況下の中で、大谷の契約などは今後どうなっていくのか……。
「エンゼルスには今後3つのシナリオがある。1つは期間内での契約延長オファー。もう1つは期間内に他球団へのトレード。最後の1つはFAとなった後、他球団と同様に交渉の席につく。大谷が在籍することで勝てるか?儲かるのか?多くのパターンをシュミレーションした上で答えが出る」(エージェント会社関係者)
22年で現行の契約が満了する大谷に対し、FA前(2023年シーズン終了後)にエンゼルスが好条件で契約延長を申し出る可能性もある。
前例として出されるのがマイク・トラウト。メジャー10年間で3度のリーグMVPに輝くスター選手だ。19年に12年総額4億2650万ドル(約467億円)で契約を延長し、現在の年俸はおよそ3700万ドル(約40億5000万円)。全球団へのトレード拒否権があり契約終了時の30年は39歳となる。エンゼルスでユニフォームを脱ぐことはほぼ間違いないだろう。
「トラウトは生え抜き選手であり人気絶大。マーケティングなどでも高額年俸を回収できる。最高位の優先選手でトレードは考えられない。そうなると大谷の未来も変わってくる。大谷と契約延長を交わした場合、世界一になれるかが重要。勝てないとなればチーム作りなども大きく変化する」(エージェント会社関係者)
エンゼルスは同19年のオフに、FAの大物内野手アンソニー・レンドンと7年総額2億4500万ドル(約268億円)で契約。チームは“勝つモード”になっているのは間違いないが、高額選手を抱えながら世界一が見えなければ、球団としてビジネス上でも意味がない。若手選手起用へシフトすることも考えられ、この場合トラウト以外の選手はトレード要員となる可能性もある。今季もここまでア・リーグ西地区で4位(24勝30敗)と低迷し、弱点と指摘される投手力などから将来への見通しも決して明るいとはいえない。
「今後は(大谷の)チーム内での立ち位置もさらに明確になっていく。チーム予算の中で効果的な強化が必要。大谷も決して例外でなく、投打で球団への貢献度が冷静に評価、判断される。ただし二刀流はメジャーでも前例がないので、GMも難しいはずです」(MLBアジア地区担当スカウト)
平均年俸は下がっているものの、昨年オフにはコロナ禍でありながら、投手のトレバー・バウアー(レッズからFA)がドジャースと3年総額1億200万ドル(約112億円)で契約。野手のフェルナンド・タティスJr.(パドレス)もシーズン前に、MLB史上最長となる14年、総額3億4000万ドル(約372億円)で契約を延長した。こういった状況、そして大谷のグラウンド内外のインパクトを考えれば、これらに匹敵する契約を手にする可能性も大である。
「投手の方が長期高額契約を勝ち取る場合が多いが、タティスの件もある。まずは今のまま順調に結果を出すこと。どのシナリオになってもチームの勝敗を左右するとともに、巨額のお金が動く。大谷の動向は米国スポーツ史に残るニュースになる。現状、エンゼルスの世界一は難しいと思うから、伝統ある常勝球団での二刀流も見てみたい気もする」(エージェント会社関係者)
エンゼルスは02年に世界一に輝き00年代は強豪と呼ばれたが、近年はお世辞にも好成績を収めてるとは言い難い。今年も柱であるトラウトが故障で離脱、厳しい戦いが続く。大谷の活躍は全米を席巻し、チームにとって大きな希望だが、今後の先行きが不透明なのも事実だ。
やはりここまで話題になるのも、大谷の才能が飛び抜けているからに他ならない。日本人的観点からすれば二刀流で活躍してくれれば、ユニフォームがどこであっても誇らしい気持ちに変わりはない。今後もショーヘイ・オータニは目が離せない存在だ。
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