イスラエル軍がガザ空爆 ハマスのロケット弾に報復、武力衝突へ
- 国際
- 2021年5月11日
イスラエル軍は10日夜(日本時間11日未明)、パレスチナ自治区ガザ地区を空爆し、ガザの保健当局によると、子供9人を含む少なくとも20人が死亡、65人が負傷した。これに先立ち、ガザ地区を実効支配するイスラム組織ハマスは10日にイスラエル・エルサレムに向けてロケット弾7発を発射しており、イスラエル側が報復攻撃に出た形だ。4月中旬からエルサレム旧市街などで続くイスラエルとパレスチナの対立は、ついに武力衝突に発展した。
エルサレムへのロケット弾着弾は、2200人以上の死者を出した2014年のイスラエルとハマスの大規模戦闘以来で、緊張の激化が懸念されている。
イスラエルのネタニヤフ首相は10日、「ハマスは一線を越えた。代償を払うことになる。厳しく報復する」と述べ、イスラエル軍による報復攻撃が数日間に及ぶ可能性を示唆。10日夜はハマスのロケット発射基地やハマスの工作員に対する空爆を繰り返した。イスラエル側は、ハマスの攻撃で少なくとも3人が負傷している。一方、ハマスの軍事組織はロケット弾発射について「(イスラム教の)聖地侵略への報復」と理由を説明した。
エルサレムでは10日、イスラム教とユダヤ教双方の聖地「神殿の丘」(イスラム名ハラム・アッシャリーフ)など複数の場所でパレスチナ人とイスラエル警察が衝突した。この日は1967年の第3次中東戦争でイスラエルが東エルサレムを占領したことを祝う「エルサレムの日」で、これに反発するパレスチナ人数千人が「神殿の丘」に立てこもり、ユダヤ人の入場を排除。イスラエル側はゴム弾などを使って対抗し、300人以上が負傷した。
イスラム教のラマダン(断食月)が始まった4月中旬以降、エルサレムでは連日衝突が発生している。
国際社会は双方に自制を呼び掛けている。パレスチナのメディアによると、エジプトとカタール、国連などが停戦に向けた仲介を始めた。ブリンケン米国務長官は10日、双方に事態沈静化への努力を求めた。【ガザ市(パレスチナ自治区ガザ地区)三木幸治】
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