ソフトバンク「第2の柳田」も9年目 尻に火が付いた爆発力
- スポーツ
- 2021年3月4日
タカ番記者コラム「好球筆打」
◆オープン戦 ソフトバンク4-1中日(3日、ペイペイドーム)
俺を忘れるなと言わんばかりの一撃だった。8回。途中出場の真砂が、右翼テラス席へ今オープン戦1号ソロをぶちかました。
この回からマウンドに上がった中日4番手橋本の外角直球を捉えた。コースに逆らわずはじき返された白球は、強烈なライナーで右翼フェンスを越えた。「(2ストライクと)追い込まれていましたが、逆方向を意識し、食らいついていきました。2ストライク後は粘り強くと心掛けているので、結果、最高の形になった」。球団広報を通じて喜びのコメントを寄せた。
本人談にもある通り、まさに食らいつくような打撃だった。きっちり外角低めに制球された146キロの直球。安打にすることすら難しそうなコースを仕留めたのだから、工藤監督の評価もすこぶる高かった。
「打ちましたね、やっと。逆方向にね。(真砂の打球は)飛びますからね、基本的に。本人にとってもすごく楽になる一本になったんじゃないかな。ずっと安打が出てなかっただけに、ああやって一本出ると気分も違うでしょう」。ぐふふと笑いが止まらなかった。
かつては「第2の柳田」と期待された真砂も、今年でプロ9年目を迎えた。昨年は自己最多の50試合出場で、打率3割1分4厘(35打数11安打)と存在を示したものの、勝手ながらこちらの期待値が高いだけに、正直、物足りなさは残る。
加えて、昨年は栗原、その前は上林と同じ外野で年下のライバルたちがレギュラー級の活躍を見せた。さらに、外野陣は柳田やグラシアル、中村晃といった球界トップクラスの選手が顔をそろえるだけに、置かれる立場は「尻に火が付いた状況」と言っていい。
だからこそ、この一発を大事にしたいところだ。今春は紅白戦も合わせた実戦で17打数3安打とまだまだ寂しい数字が並ぶが、首脳陣がベストメンバーで戦うと方針を打ち出す関東遠征後まで、あと8試合も残す。「外野手争いが熾烈(しれつ)なので、そこに割って入れるように結果を出していきたい」。右打ちの外野手という点でも、真砂は貴重な存在になり得る。 (石田泰隆)
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