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川口春奈、7年前の「低視聴率でドラマ打ち切り」から大逆転 背景に「芯の強さ」


代役をハマり役に変えた(時事通信フォト)© NEWSポストセブン 提供 代役をハマり役に変えた(時事通信フォト)

「2020年のブレイク女優」の筆頭は誰かといえば、真っ先に挙がるのが川口春奈だろう。ローティーン向けファッション誌のオーディションでグランプリを獲得し、2007年にモデルデビューを果たした彼女は、まだ25歳でありながら芸歴は13年にも及ぶ。

彼女が女優として一躍世間に知られるようになったのは、2010年代前半の出来事だ。2011年に『ニコラ』専属モデルを卒業した後は、女優業を本格化させ、主演ドラマが何本も放送された……のだが、なかなか視聴率が振るわず、「低視聴率女優」のレッテルが貼られてしまった。2013年に放送された『夫のカノジョ』(TBS系)は予定を短縮して8話で打ち切りという結果になり、放送当時、川口は〈視聴率、視聴率、、今はすべてが数字で判断される時代なのかな?悲しいな…〉(2013年11月15日のブログより)と苦しい胸の内を吐露していた。

そんな彼女が、2020年、見事に大復活を遂げた。きっかけはもちろん、2021年2月7日に最終回を迎えるNHK大河ドラマ『麒麟がくる』の帰蝶(後の濃姫)役に起用されたことだ。もともと帰蝶役を演じるはずだった沢尻エリカが、放送開始まで2か月を切ったタイミングで麻薬取締法違反の疑いで逮捕され降板したため、川口は急きょ代役を務めることになった。

川口にとっては、今回が時代劇初挑戦。それにもかかわらず織田信長の正妻という重要な役柄を演じることになり、放送前は「本当に大丈夫なのか」という声も一部であった。特に帰蝶は、“したたかな女”というイメージの強い役柄であるだけに、清純派女優として知られる川口が演じることに不安を覚えた視聴者もいたようだ。

しかし、これが意外なハマり役だった。川口は、“マムシの娘”らしい辣腕を説得力たっぷりに演じ、その暗躍ぶりについたあだ名が「帰蝶P(プロデューサー)」。物語もクライマックスに近づいてきた今、ネット上には「帰蝶役が川口春奈で良かった」「帰蝶役は川口春奈しか考えられない」という声が相次いでいる。

一方で、2020年秋に放送されたドラマ『極主夫道』(日本テレビ系)では、少し天然なヒロインを時にキュートに、時にコミカルに好演し、役者としての振れ幅の大きさを発揮している。また、1月に開設した公式YouTubeチャンネル「はーちゃんねる」もチャンネル登録者数120万人以上という大反響で、今後も川口は引っ張りだこになりそうだ。

映画ライターの磯部正和氏も、川口の帰蝶役を高く評価するひとりだ。

「川口さんと言えば、新人女優の登竜門として知られる『リハウスガール』の第13代目を務めるなど、瑞々しく透明感のある魅力が持ち味で、ドラマや映画でも“可愛らしい”役柄を多く演じてきました。自分が取材などで見てきた限り、川口さんはしっかりと自分というものをお持ちになっている印象があります。年齢を重ねるごとに、可愛らしいルックスにプラスして、もともと持つ芯の強さが凛とした佇まいとして表現されるようになってきた気がします。

それが最もよくにじみ出ているのが、放送中の大河ドラマ『麒麟がくる』の帰蝶役ではないでしょうか。劇中の帰蝶は、染谷将太さん演じる若き信長の側に、ときに優しく、ときに厳しく、そしてしたたかに寄り添います。

この作品は、もともと帰蝶役だった沢尻エリカさんが急きょ降板したことによって回ってきた役です。時代劇の経験もなく、所作訓練などの準備期間がないなか、一筋縄ではいかない帰蝶の感情までしっかり表現できるのか不安視する声もありましたが、放送が始まると、川口さん演じる帰蝶の立体的な役作りに多くの称賛が寄せられました。

芝居に力強さが加わったことで、川口さんが本来持つ可愛らしさの表現も広がり、今後さらに幅広い役柄が舞い込んでくるような気がします」(磯部氏)

代役をハマり役へと変えてみせた川口。苦難の時代を乗り越えて、今が本格ブレイクの時だ。

◆取材・文/原田イチボ(HEW)

NEWSポストセブンより転用


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