<再開の土俵>コロナ禍「自粛ダイエット」 20キロ減 体質改善した力士、取り口にも変化?
- スポーツ
- 2020年7月27日
上手投げで照強(下)を破った千代大龍=東京・両国国技館で2020年7月23日、玉城達郎撮影
3月以来4カ月ぶりの本場所となる大相撲7月場所。相撲のない異例の期間を過ごした力士たちの中には、体質改善を目指して「ダイエット」を試みた者もいたようだ。
「体重が増えすぎたので、ダメなところを見直して20キロぐらい体重を落とした」。そう明かすのは前頭・千代大龍(31)=九重部屋=だ。昨年夏場所は198キロと、日本出身力士でトップクラスの体重だった千代大龍。今年2月には188キロだったが、さらに減らして現在は175キロ前後という。「体重を減らしたことへの不安はない。僕なりに考えた結果です。190キロ台の時のような激しい当たりはできないけど、体はよく動いている。今場所は動いて動いて、いい相撲を見せますよ」
実は、千代大龍には糖尿病の持病がある。同じ持病があった三段目・勝武士(本名・末武清孝さん)が新型コロナウイルスに感染し、5月に亡くなっただけに、体重の増減を含めて体調管理への意識に人一倍敏感になった。長女が小学生ということもあり、「自分が感染したら大変なことになる」とマスクの着用や手洗い、うがいを徹底。自宅に帰ると長女が真っ先に出迎え、すぐに消毒用のアルコールティッシュで手を拭いてくれる。そんな家族の期待に応えるためにも、さらに星を伸ばしたいところだ。
力士の身長、体重は通常、東京開催の本場所前の力士会で測定し発表される。だが今年は5月の夏場所が中止となり、7月場所も力士会は行われなかった。日本相撲協会は現在、2月の健康診断で測定した身長、体重を公表しているが、最新値は公表していない。平均体重160キロ前後の幕内力士にとって「5キロ前後の体重変動は誤差のうち」というが、中には大幅な変動があった力士もいる。公表値で171キロの前頭・勢(33)も「体のキレを上げるために一時は20キロぐらい減らした」という一人。ただ、その後は「減らし過ぎて軽く感じたので、少し戻した」と話す。
決まり手にも、わずかながら変化が表れている。力士の大型化が進む近年は「突き」や「押し」を得意とする力士が増える一方、その取り口は「目方(体重)頼み」とも言われる。押し相撲の代表格とされる「押し出し」が決まり手となった相撲は、新型コロナウイルスの影響が国内で顕在化する前の初場所(1月)では幕内の初日~8日目で40番あったのに対し、今場所は8日目を終えて32番と減少。今場所の千代大龍に限れば、押し相撲で勝ったのは「突き出し」で勢に勝った3日目だけ。確かなことは言えないが、相撲を取れない期間に各自が自分の相撲を見つめ直した結果、取り口にも変化が生まれつつあるのかもしれない。
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環境が変われば相撲も変わる!?
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