特例貸し付け、38万件超申請 既にリーマン超え コロナで生活困窮、社協に殺到
- 政治・経済
- 2020年6月14日
新型コロナウイルスの影響で収入が減った人などから生活資金の特例貸し付けについて電話相談を受ける社会福祉協議会の職員ら=5日、東京都大田区
新型コロナウイルスの影響による休業や失業で収入が減った世帯に生活資金を支援する特例貸し付けに、開始から2カ月で約38万8000件(速報値)の申請があったことが13日、全国社会福祉協議会(全社協)への取材で分かった。 うち9割近くに当たる総額約745億円の支給が決まっている。 対象を広げているため単純比較できないが、リーマン・ショックや東日本大震災で増えた2009~11年度の3年間の実績を既に超えている。窓口となる各地の社協には相談が殺到しており、担当者は「目先の資金にも困っている人が想像以上に多い」と指摘する。 特例貸し付けには、一時的な生計維持のため最大20万円を一括で貸す「緊急小口資金」と、さらに足りない場合に最大月20万円(単身15万円)を3カ月間支給する「総合支援資金」がある。いずれも無利子で連帯保証人も不要。収入が減っていれば低所得でなくても利用でき、住民税非課税世帯は返済が免除される。 学生や在住外国人も対象で、社協のほか各地の労働金庫、郵送などで受け付けている。当初は印鑑証明や減収を証明する書類の提出を求めていたが、迅速に送金するため省略し、面談も不要とした。緊急小口は申請から1~2週間で振り込まれる。 全社協によると、3月25日~5月30日、約38万8000件(緊急小口約33万5000件、総合支援約5万3000件)の申請があった。うち計約34万3000件、約745億円の支給が決まっている。従来とは桁違いに多く、09~11年度の3年間でも計約20万5000件、約682億円だった。 申請が急増した背景には、対象の拡大や手続きの簡素化に加え、国民全員に10万円を配る特別定額給付金など他の公的支援の支給が遅れたことがあるとみられる。 全社協の伊藤浩司・民生部副部長は「当初は個人向けの支援が乏しく、すぐに現金を得られる制度が他になかった。緊急小口はピークを越えたと思うが、総合支援はさらに増えるだろう」と話した。 政府は急増に備え、12日に成立した20年度第2次補正予算に2048億円を計上。1次補正などと合わせて2674億円を確保しており、申請期限も9月末に延ばした。
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