山口FG新社長に50歳、椋梨氏 「地域の持続的発展を」 吉村氏は会長
- 企業・経済
- 2020年5月17日
■最終利益253億円 増収増益
山口フィナンシャルグループ(FG)は15日、吉村猛社長(60)の後任に、執行役員の椋梨(むくなし)敬介氏(50)を昇格させる人事を発表した。吉村氏は代表権を持つ会長に就く。6月の株主総会を経て就任する予定。椋梨氏は「危機感に基づいた使命感をもって任務を果たす」と抱負を語った。(九州総局 中村雅和)
「若さでは(役員の中で)下から2番目で、副社長まで全部飛び越えた。卓越した実行力と素晴らしい人脈を持っている」
吉村氏はこの日、インターネットによる記者会見で椋梨氏をこう評価した。
椋梨氏は地方創生を支援する子会社「YMFG ZONEプランニング」(YMZOP)などの社長を兼務。吉村氏の肝いりで設立した同社は、山口FGが中期経営計画の第1目標に掲げる「地域共創モデルの確立」の実現にとって中核的な存在だ。
金融とITが融合したフィンテックによって金融機関と他業種の垣根はなくなりつつあり、地銀も生き残るために差別化を図る。YMZOPは地元自治体や中小企業はもちろん、九州・山口域外の多くの企業や団体と連携し成長支援や社会インフラの整備、地域産品の販促などに取り組む。取引先企業の価値向上は山口FGの収益にもつながる。
椋梨氏は「地域の価値を的確に捉え、持続的に発展させなければ、山口FGの存続は難しくなる」と危機感を強調。その手腕について「(YMZOPを)全国でも名前が出るように拡張し、勢いをつけてくれた。変革の時代に、ぴったりな男だ」(吉村氏)と評価は高く、抜擢(ばってき)につながった。
椋梨氏を、山口FG初代社長で、平成30年に亡くなった故・福田浩一氏と重ねる向きもある。豊富な人脈と高いリーダーシップが評価され、関係者から親しみを込めて「じじ殺し」と呼ばれた福田氏も最年少取締役から、ごぼう抜きで社長に昇格した。吉村氏は会見で、椋梨氏について「みんなが(福田氏と)同じようだと思っているじゃないか」と期待を込めた。
山口FGは、今回の社長人事にあわせ、社長の権限と責任の一部を部門責任者に移譲するチーフオフィサー制を導入する。椋梨氏はFG全体と地方創生を担う部門の最高執行責任者となる。吉村氏はFGの最高経営責任者としてグループ戦略の立案を担う。
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山口FGが15日発表した令和2年3月期連結決算は一般企業の売上高にあたる経常収益が前年同期比7・9%増の1754億円、最終利益は同9・7%増の253億円と増収増益だった。
一言コメント
事業承継もそつがないね。
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