留学生の入学辞退相次ぐ 新型コロナで中国地方の大学
- 政治・経済
- 2020年3月21日
新型コロナウイルス感染症の世界的流行を受け、中国地方の大学に今春入学予定だった留学生の辞退が相次いでいる。逆に大学側が受け入れを中止したり、日本人学生の海外派遣を見送ったりするケースもある。世界全体で出入国制限も広がり、大学の国際化にブレーキがかかった格好だ。
山口大(山口市)は4月に留学生87人が入学予定だったが、少なくとも32人が辞退した。うち中国、韓国の学生が計27人を占める。広島市立大(安佐南区)も海外の協定校から、計10人の派遣の延期・中止の連絡を受けた。うち9人が中国、韓国の学生だ。
日本政府は9日から中国と韓国を対象に入国制限を強化。入国時は指定場所で2週間待機し、移動に公共交通機関を使わないよう求める。発行済みの査証(ビザ)は無効とする。英国やフランスなど欧州各国にも21日から同じ制限を課す。
一連の措置を受けて来日の見通しが立たない留学生が続出している。福山大(広島県福山市)では今春入学の留学生44人のうち、中国在住の20人のビザ発給のめどが立っていない。県立広島大(広島市南区)でも韓国在住の4人が同じ事態に。同大国際交流課は「中ぶらりんの状態で学生は不安がっている」と、メールで密に連絡を取り合う。徳山大(山口県周南市)は、中国からの15人の入学を9月に延期するという。
一方、大学側の判断で受け入れを見送る動きも広がる。広島工業大(広島市佐伯区)や広島経済大(安佐南区)は、4月以降に海外から迎える予定だった交換留学生に中止を伝えた。
広島経済大の岡田浩典・国際教育交流センター長(事務担当)は「感染が世界に広がっており、やむを得ない。希望者は別の時期に受け入れたいが、いつ事態が落ち着くか…」とため息をつく。
日本外務省は18日、全世界を対象に渡航時に十分な注意を促す「レベル1」の感染症危険情報を出した。日本人学生の海外への派遣中止も広がりそうだ。広島大(東広島市)では2、3月、欧州やアジアへの短期留学プログラムに約200人が参加予定だった。うち約140人は中止、約60人は延期とした。「学生の安全を考えて決めた」と、同大国際交流グループ。
広島市立大は、感染が広がるドイツやフランスなど4カ国に留学中の在学生10人の安全に気をもむ。同大国際交流推進センターは「外務省の危険情報が渡航中止を勧告するレベルになれば帰国を促す。一人一人と連絡を欠かさないようにしたい」としている。
一言コメント
留学生に依存している大学にとっては大事だ。
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