日韓改善、展望開けず 元徴用工問題は平行線 首脳会談
- 国際
- 2019年12月25日
【成都時事】中国・成都で1年3カ月ぶりに開催された日韓首脳会談。
文在寅大統領と安倍晋三首相は両国間の懸案を「対話」を通じて解決することで一致したものの、元徴用工問題をめぐっては双方のこれまでの主張を繰り返すにとどまり、本格的な関係改善に向けた展望は開けなかった。
昨年9月以来となった今回の会談は、文政権が日本の輸出規制強化への対抗措置として、破棄を通告した日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)が11月に失効ぎりぎりで延長されたことで実現。そもそも失効回避は「日米韓連携の亀裂を危惧した米国の強い圧力」(外交筋)を受けたもので、文政権は日本との積極的な関係改善には及び腰だ。
大統領府関係者は会談について、「互いの肉声を通じて相手方の立場の説明を聞く席だった。対話での問題解決に両首脳が合意をしたことに大きな意味がある」と強調する一方、具体的な方策については「今後の協議を通じて解決していく」と述べるにとどめた。元徴用工問題でも、文氏は従来の立場を崩さず、新たな解決策には言及しなかったもようだ。
元徴用工問題をめぐっては、文喜相国会議長が解決案として、日韓両国の企業や個人からの自発的な寄付金を財源に慰謝料を支給することを柱にした法案を国会に提出。ただ原告の一部が反発しているほか、大統領府高官も否定的な認識を示している。
日韓関係改善には韓国の国内事情も影を落とす。来春に総選挙を控え、さらなる関係悪化を避ける必要がある一方、「当面は対日問題で譲歩できない」(日韓筋)事情がある。不動産政策への批判で文氏への支持率が下落しているほか、大統領府のスキャンダルで文氏の側近だったチョ・グク前法相の逮捕状が請求されたことも追い打ちをかけている。「レームダック(死に体)」化に進む文政権は外交努力をアピールしながらも本格的な対日改善に踏み出せないとの見方も強い。
一言コメント
焦らずじっくり交渉すればいい。
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