熊本市の慈恵病院「内密出産」受け入れへ 親の名前、相談室が保管
- 政治・経済
- 2019年12月8日
身元を明かしたくない妊婦の「匿名出産」をサポートする方針を示した慈恵病院(熊本市西区)が、子どもの出自を知る権利も担保する独自の仕組みを新たに取り入れる方針を固めたことが6日、分かった。匿名出産は、子どもが出自を知ることができない点が課題となっており、病院内で出自を担保できる仕組みを作り、事実上の「内密出産制度」に踏み切るという。
ドイツなどで法制化され、子どもが一定の年齢になると、親の情報を知る仕組みがある「内密出産」と違い、「匿名出産」はその仕組みが無い。匿名出産に至るケースを極力避けるため、病院内で「内密出産」に近い仕組みを整える必要があると判断したという。
蓮田健副院長によると、新たな仕組みでは、匿名での出産を希望する妊婦は、院内の「新生児相談室」室長にのみ身元を明かした上で、仮名のまま健診や出産ができるという。子どもが一定の年齢になり、親の名前を知りたい場合は、同室が保管していた関係書類を開示するという。
蓮田副院長は「身元を明かすことを嫌がり、受診せずに自宅などで孤立出産すれば母子の命に関わる。病院で安全に出産してもらうための選択肢の一つ」と強調する。どのケースでも、まずは相談を重ねて実名を明かして出産してもらう努力は続けるという。
「内密出産」は、児童相談所など相談機関にのみ身元を明かし、医療機関では匿名のまま出産できる制度。同病院は2017年12月、内密出産の検討を公表し、18年夏、独自案を市に提案し、協議を進めてきた。しかし、進展がみられず、今年11月、匿名出産を受け入れる方針を明らかにした。
戸籍作成や養子縁組の手続きなど、法的問題については「現時点で明らかな違法性はないと思うが、問題が生じた時に、その都度関係機関と協議したい」としている。
一言コメント
人それぞれ事情はあるだろうからね。
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