海外視察 報告書は紙1枚 和歌山県議会、今後も様式改めず
- 政治・経済
- 2019年9月29日
和歌山県議会が2015~18年度に行った計11回の海外視察のうち、3回分の報告書がA4用紙1枚だったことが判明し、県議会の岸本健議長は27日、報告の方法を一部改める方針を示した。今後は海外視察をした議員が、必ず議会で県に関連施策の質問をするよう義務付け、内容を県議会のホームページ(HP)で周知する。ただ、報告書自体はHPに掲載せず、様式も変更しないとしており、この対応に識者からは「十分な改善策とは言えない」と厳しい指摘が出た。【黒川晋史】
視察は観光客の呼び込みに向けた調査などを目的として、中国やマレーシア、インドネシアなどで実施された。このうち16~17年度の中国、台湾への視察計3回については、参加議員の名前、目的、派遣場所、期間、概要を簡単に記した1枚のみだった。渡航費や宿泊費などは計71万~127万円かかり、公費が使われている。
その他の報告書も大半は2~7枚で「意見交換を行った」「施設を見学した」などと行程の説明にとどまっていた。
この問題は外部からの指摘で発覚。報告書は県議会の要領に沿って作成されたが、インターネットなどで公開されておらず、情報公開請求をしなければ閲覧できない点も疑問視されていた。
こうした中、県議会は26日の議会改革検討委員会で、12月の定例会から報告のやり方を改めるよう全会一致で申し合わせた。今後は海外視察に行くたびに、渡航した議員のうち1人以上が、県議会の一般質問で関連質疑を行うよう義務づける。視察で得た知見を政策に生かす狙いという。
また、県議会のホームページには、「海外視察の報告」を示すリンクを貼り、質疑が書き起こされた議事録へ簡単にアクセスできるよう改める。
ただ、報告書の様式自体は改めず、閲覧に情報公開請求が必要な状態も続く。岸本議長は27日、記者団の取材に応じ、「議員が一生懸命活動していることを県民の皆さまに明確にお知らせし、県政の発展につながるような一般質問をしたい」などと述べた。
◇「改善と言えない」
これに対し、全国市民オンブズマン連絡会議の児嶋研二代表幹事は「全国では14都府県の議会が視察報告書そのものをインターネット上で公開している。情報公開請求しないと閲覧できないのは遅れている」と指摘。一般質問を義務付けるやり方については「他に聞いたことがない。議会で視察の成果を生かすのは、そもそも当たり前の話だ。今回の県議会の方針は、全国最低レベルから少し前進した程度で、改善とは言えない」と話した。
一言コメント
税金上げる前にこういうことを改めてほしい。
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