ホワイト国除外に韓国猛反発も日本企業「影響は軽微」
- 企業・経済
- 2019年8月3日
政府は2日、安全保障上の輸出手続きを優遇する「ホワイト国」から韓国を除外することを閣議決定した。7月に輸出管理が強化された半導体材料の3品目に加えて、軍事転用が可能な工作機械や炭素繊維などの幅広い品目が対象になる。サプライチェーン(部品供給網)の寸断が不安視されるが、日本の産業界では「日本が輸出を止めるわけではない。大きな影響は出るとは考えていない」(シャープの野村勝明副社長)といった声が聞かれ、業績には楽観的な見方も出ている。韓国では経済への打撃に対する懸念が強まっている一方、日本側の企業は影響の行方を注視している段階だ。
■「心配していない」「影響僅少」
「(輸出管理が強化されても)代替のリソース(資源)はある。われわれのビジネスへの影響は軽微だ」
パナソニックの梅田博和常務執行役員は7月31日に東京都内で開いた会見でこう述べた。
仮に日本からの輸出が滞ることで韓国メーカーが半導体などの電子部品を生産できなくなっても、他のメーカーから部品を調達すれば問題がないという考えだ。
精密部品の村田製作所の竹村善人常務執行役員は「心配していない」とし、「対象品目に含まれたとしても許可があれば輸出はできる。一時的な影響は出るかもしれないが、大きな問題にはならないだろう」と話す。日立製作所も「直接的な影響は僅少」(西山光秋専務)とみている。
■軍事転用阻止
韓国に対する輸出管理の厳格化について、日本企業は冷静に受け止めている。
加工精度の高さから軍事転用の可能性が指摘されている日本製の工作機械。日本工作機械工業会の飯村幸生会長は「武器への転用は絶対に阻止しないといけない」とし、政府の方針や情報を早期に会員企業に伝えていく考えだ。工作機械各社の全体の売上高に占める韓国の割合は数%と低いため、直接的な影響は限定的との見方が一般的だ。
韓国がホワイト国から除外されると、自動車の部品などに使われる炭素繊維の輸出手続きも厳格化される見通しで、三菱ケミカルホールディングスは「粛々とそれに従ってやっていく」(伊達英文執行役常務)方針という。
■不買運動拡大、レクサスの受注にも
日本企業で警戒感があるのは、サプライチェーンよりも、日韓対立の長期化に伴う韓国内での日本製品の不買運動の広がりだ。
「トヨタ車のレクサスの販売代理店で、7月からの受注に影響が出ており、行方を注視している」。豊田通商の富永浩史取締役は7月31日の決算発表の記者会見でこう述べたように、日本車の販売に響く可能性はある。
飲料大手、アサヒグループホールディングス(HD)は1日決算会見で「一部の小売店で販売を控える動きがあるのは承知している」(勝木敦志CFO)と不買運動の影響を認め、「動向を見守っているところだ」と述べた。
一言コメント
他国への販路強化をするいい機会だ。
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