携帯大手、顧客流出に危機感=解約阻止へ非通信に力
- 企業・経済
- 2019年6月12日
総務省は、携帯電話の「2年縛り」解約で発生する違約金(9500円)を1000円に引き下げる案を11日の有識者会議に示した。
実施されれば、利用者は携帯会社の乗り換えが容易になる。顧客流出に危機感を抱く携帯各社は、値下げ競争に加え、金融サービスや、映像などのコンテンツ販売といった非通信分野に力を入れる構えだ。
これまで通信料を値引きする代わりに高額な違約金が伴う2年縛りで顧客を囲い込み、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの大手3社は数千億~1兆円の営業利益を得てきた。
今秋以降、違約金が1000円以下となれば「利用者は乗り換えが自由」(携帯大手幹部)。国内通信市場が飽和状態で大きな成長を見込めないこともあり、業界からは「引き下げには応ぜざるを得ないが、想定外の低水準」(別の携帯大手幹部)と総務省の方針に恨み節が漏れる。
大手3社は今年10月の楽天モバイル(東京)の携帯参入にも神経をとがらせる。楽天の登場で値下げ競争に拍車が掛かるのは確実。さらに、多様なサービスが顧客引き留めの鍵を握る中、楽天グループはインターネット通販を核に銀行、証券、電子マネー、旅行といったサービスで実績がある。
1億人以上の会員数を抱え、「楽天経済圏」とも呼ばれる同社に対抗するため、携帯大手は「異業種と協力し、サービスの質を高める」(中堅幹部)戦略も視野に入れる。非通信分野の新サービスを購入した顧客にポイントを付与し、通信料値引きに充てる動きが加速する可能性もある。
一言コメント
利用者としてはうれしいことだ。
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