「小僧寿し」債務超過で“ピンチ” すし業界の“栄枯盛衰”
- 企業・経済
- 2019年3月29日
持ち帰り寿司専門店の「小僧寿し」が、債務超過に陥ったことが明らかになった。
かつて、2,000店以上を展開していた人気チェーン店に何が起きているのか。
創業40年以上、持ち帰り寿司の専門店「小僧寿し」。
社名には、“お客さまに奉じる小僧でありたい”という思いが込められていて、素材と鮮度にこだわってきた。
30代主婦「おいしいし、安い」
20代主婦「子どものころ、誕生日とかに買って持って帰ったりしていた」
その小僧寿しが今、経営危機に直面している。
2018年12月期の決算で、10億5,700万円の債務超過に転落。
つまり、すべての資産を売却しても借金が返済できない状態で、上場廃止の可能性が強まったことが明らかになった。
かつては、1,000億円以上を売り上げていた小僧寿し。
全盛期には、全国2,300店舗を展開していたが、現在は243店舗にまで縮小し、9年連続の赤字と低迷している。
なぜ苦戦を強いられているのか。
30代主婦「回転ずしって、いろいろ入っているので、おすしを食べられない年齢でもポテトがあったり、ラーメンがあったり、チョイスができる」
50代主婦「コンビニもあるし、スーパーもあるし、便利で早い」
不振の理由の1つとして考えられるのが、ライバルの回転ずしとの競争激化。
経営コンサルタントの佐藤昌司氏は、「特に100円ずしといわれる大手回転ずしチェーンとの競争。家族で楽しむとなると、出かけた際に大手回転ずしチェーンを利用する、そういうところに客を取られてしまう」と話した。
急成長を続ける回転ずしチェーンに加え、すしの販売は、宅配専門店やスーパーなどにも拡大。
次第に顧客を奪われていったという。
小僧寿しは、赤字体質からの脱却を目指し、2014年にラーメン店事業に進出。
「麺や小僧」を展開したものの、わずか2年で撤退を発表することに。
さらに、から揚げ店などを併設し、売り上げアップ作戦を展開。
しかし、2018年9月以降のスタートだったため、まだ業績を大きく好転させるには至っていない。
また、新たに手がけたデリバリー事業では、出店場所や人材の確保に失敗し、収益が想定を下回ったことも債務超過の一因となった。
すし業界で苦境に立たされているのは、小僧寿しだけではない。
経営コンサルタントの佐藤昌司氏は、「大手の回転ずしチェーンは、価格の安さを武器に、店舗数を伸ばしていて、業績も上向いている状況。一方、小さな回転ずしチェーンや個人経営は、非常に厳しい状況」と話した。
東京商工リサーチの調査によると、すし業界では2013年以降、毎年30件前後が倒産していて、2018年は27件が倒産している。
東京都内で30年続く個人経営の寿司店「誠鮨」の西巻誠店主は、「やっぱり厳しい…のは正直そうでしょうね。今、ネタ自体が、ランチで使えるような値段ではなくなっているので、ランチもやめて、出前もやめて、夜だけに集中してやっています」と話した。
すし業界の生き残りをかけた、熾烈(しれつ)な戦い。
小僧寿しは、今後に向け、ブランドの立て直しやコストの削減を図るとともに、増資を行うことで速やかに債務超過を解消するとしている。
一言コメント
すし業界も生き残るのは大変そうだ。
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