止まらぬ東京一極集中=若者移住へ模索続く-列島地方選2019
- 政治・経済
- 2019年3月11日
地方から東京圏(東京、埼玉、千葉、神奈川)への人口流入が止まらない。
政府は2015年から「地方創生」の総合戦略に取り組み、東京圏と地方の人口移動を20年までに均衡させることを目指しているが、18年の東京圏への転入超過は若者を中心に約14万人に上った。統一地方選で地方創生が争点の一つになると見込まれる中、若い世代の移住促進へ各地で模索が続いている。
◇四つの基本目標
「地方創生なくして日本再生はあり得ない」。安倍晋三首相は、自民党の統一選の政策パンフレットにこうメッセージを寄せ、地域振興に力を入れる姿勢を改めて示した。
政府が進める地方創生の5カ年総合戦略では、(1)雇用創出(2)東京圏と地方の転出入均衡(3)結婚や出産、子育ての環境整備(4)時代に合った地域づくり-の各基本目標を提示。自治体への財政支援や中央省庁職員の市町村派遣などを通じ、地域の取り組みを後押ししている。
各自治体も国の交付金を活用し、農林水産業の6次産業化など、地域のニーズに合わせた事業を展開している。例えば、和歌山県は跡継ぎがいない事業者と移住希望者をマッチングする「継業(けいぎょう)」を支援。店舗改修費などを補助し、担当者は「新たな感覚で地域のなりわいを維持してほしい」と話す。
各地の取り組みもあり、地方の若者の雇用は約27万人分を創出。女性就業率も17年で74.3%と20年に77%とする目標に近づきつつある。各分野で進捗(しんちょく)が見られる分、人口移動分野の遅れが目立っている。
◇相談件数は過去最高
そんな中、「若い世代が地方に目を向け始めた」と語るのは、NPO法人ふるさと回帰支援センターの嵩和雄副事務局長(46)。東京・有楽町で移住の情報提供を行う同センターには昨年、過去最高となる4万件超の相談や来訪があった。20~30代が過半数を占め、中高年が中心だった十数年前と様変わりしている。
嵩さんは、08年のリーマン・ショックと11年の東日本大震災が「ライフサイクルを若者が見つめ直すきっかけになった」とみている。
移住希望者の背中を押す有志団体も出てきた。11年結成の「京都移住計画」を皮切りに、各地で同様の団体が発足し、住民視点での情報発信や交流会を手掛けている。
17年には「全国移住ドラフト会議」を開催。移住希望者約50人が「選抜候補者」として自身のキャリアなどを12地域の団体にアピールした。その結果、団体から地域に来てほしいと「指名」を受けた人の中から、既に移住したか、今後移り住む予定の人がこれまでに6人現れている。
京都移住計画代表の田村篤史さん(34)は「すぐに移住につながらなくても地域のファンになるはず」と今後の交流に期待を寄せる。
地域ガバナンス論が専門の小田切徳美明治大教授は、地方への移住を進めるに当たり「大切なのは人の頭数ではなく、地域を盛り上げる人材を確保することだ」と強調。地方創生の次期総合戦略については「(休日に通うなど地域に継続的に関わる)『関係人口』を多様にすることと、誰でも活躍できる基盤づくりや人を育てる視点をさらに取り入れるべきだ」と主張する。
一言コメント
地方は税金を免除したら増えるかもよ。
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