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福岡、広島、宇都宮…地方に大手のマンション続々


 大手デベロッパーが地方でのマンション開発事業を強化している。三菱地所と東京建物は福岡市内で、富裕層を対象としたタワーマンションを販売。好調な売れ行きを見せている。長谷工コーポレーションは中国・四国地方や北関東など未進出エリアに相次いで拠点を新設したほか、大京は地方中核都市の再開発事業に力を入れる。首都圏の都心部は地価の高騰によって、採算に合うマンション適地を取得するのが困難になっていることもあり、地方での事業をめぐる動きはさらに活発化しそうだ。

■玄界灘の眺望

一般的には南向きの部屋の人気が高いのに対し、北東向きの方が圧倒的な人気を誇り、価格も高い地上40階建てマンションの開発が、文教地区として知られる福岡市早良区の一角で進められている。2021年3月末の入居を予定している東京建物の「ブリリアタワー西新」だ。

北東向きの人気が高いのは九州の北西部に広がり、世界有数の漁場として知られる玄界灘を望むため。博多駅までわずか13分、福岡空港まで18分という地下鉄西新駅に直結するなど利便性に秀でている点も売りだ。元々は商業施設の跡地で、施設の一部を残した上で浮いた容積率を利用してマンションにする。

第1期販売分の最高価格は2億9800万円と高価格帯の物件ながら、問い合わせ件数は同市内の人気物件の3倍に達する。意外にも投資家は少なく、圧倒的に実需。購入者の8割近くが福岡県内に住む会社経営者や医者によって占められている。福岡はアジアを中心とした外国人観光客に人気がある街で、経済も好調。そんなこともあって、九州支店の小田修敬支店次長は「会社経営者に相当のキャッシュがたまっていることを肌で感じる」と話す。

三菱地所レジデンスなどが販売する「ザ・パークハウス 福岡タワーズ」(福岡市中央区)は地上28階建てのツインタワーマンション(総戸数は584)。福岡ソフトバンクホークスの本拠地である「ヤフオク! ドーム」に隣接したエリアに建つこともあって、場所の知名度とブランド力が高く、富裕層を中心に人気を集めている。

福岡は暮らしやすいという理由で転勤族の人気が高く、子育てが終わったり定年を迎えた後に福岡に移住するケースが多い。こうした市場背景を踏まえ同社九州支店の米井貴宏・販売グループリーダーは「用地の確保が厳しくなるのは必至だが、安定供給を行っていきたい」と話す。

また、同社では福岡を足がかりに長崎や熊本といった九州内の主要都市でも展開する計画。三菱地所の吉田淳一社長は「地方の中核的な都市の街づくりの中で、果たすべき役割をきちんと担っていきたい」と話している。

■駅前再開発事業で攻勢

長谷工コーポレーションは東京や大阪など大都市圏に特化した事業戦略を進めていたが、施工以外の事業分野で地方戦略を急ピッチで進めている。九州に続いて昨秋には広島や岡山、高松、宇都宮、水戸などに拠点を設置。駅前の再開発事業を中心に攻勢をかけていく方針を掲げる。

大京は昨年9月末時点で22カ所の再開発事業に携わっているが、東京都区部以外の案件が20カ所も占めるなど、地方重視の事業体制を推進している。

不動産経済研究所によると、マンションの発売月に販売戸数のうち、どれだけが契約に至ったかを示す初月契約率は、18年の首都圏平均で62・1%。好不調の境目とされる70%を大きく下回り、27年ぶりの低水準となった。ただ、共働きや車を持たない世帯が増えたこともあって、交通や買い物の利便性が高い駅前再開発物件の人気は根強い。

再開発案件は地権者の意見を取りまとめる必要があり長い期間を要するが、街自体の価値を向上させ、木造密集市街地の防災性向上など社会的課題にも寄与するといった側面も持つ。マンションの建築単価が高止まりする中、地方自治体に対する補助金を活用すれば土地の仕入れを安く行えるだけに、今後は再開発案件を軸にした地方戦略に拍車がかかるとみられる。

産経新聞

 

 

一言コメント
地方といっても、人口が多い地方都市だけどね…


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