EU離脱、折り合い困難か=英首相が強硬派に急接近
- 国際
- 2019年1月31日
【ロンドン時事】英議会が29日、欧州連合(EU)離脱案の大幅修正を指示したことを受け、メイ首相はEUとの再交渉に乗り出す。
与党・保守党の強硬離脱派の声に耳を傾け、党内の結束を演出する首相。ただ、EUの立場と強硬派の主張は水と油で、折り合いを付けるのは極めて困難とみられる。首相は短期間で厳しい現実に直面しそうだ。
「EUが乗り気でないことは分かっている」。首相は29日の議会で、大幅修正への道は平たんでないと認めた。一方で「下院が支持できる合意を手にするため(EU本部がある)ブリュッセルに向かいたい」とも強調。大一番の駆け引きをまとめる自信をのぞかせた。
背景にあるのは「EUは交渉が時間切れを迎える直前に妥協する」という経験則だ。EUから譲歩を引き出すため、混乱を招く「合意なき離脱」も辞さない強い姿勢が必要だと訴える強硬派は数知れない。
確かに、EUはかつて財政・金融危機のギリシャに対する支援協議で、土壇場になって歩み寄りを示すことがあった。ただ、ギリシャはあくまでユーロ圏への残留を希望し、EUの団結の中にいた。離脱を望む英国とは決定的な違いがあり、首相が期待する結果が到来するとは限らない。
「党が右傾化している。心配だ」。与党の穏健派は眉をひそめる。首相は強硬派、穏健派のバランスに配慮してきた。しかし、強硬派の大量造反で大敗を喫した15日の離脱案否決を機に、強硬派に急接近。議会の支持取り付けには、強硬派の理解が不可欠と判断したようだ。
離脱案で批判が集中した英領北アイルランド問題への対応策について、首相は強硬派がまとめた代替措置に「前向きに対応する」と明言した。ただ、EUとの合意を打ち消す内容で、EUは昨年の離脱交渉で「非現実的だ」と拒否した。首相がそうした事情を知らないはずはなく、強硬派に距離を置く与党議員らは真意を測りかねている。
野党議員は強硬派案について「ファンタジーを追い求めても解決にならない」と批判した。首相は「真剣な提案だ」と反論するが、BBC放送の記者は「首相は強硬派に屈服した」とみている。
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年内に解決できそう?
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