勤労統計不正、追加給付800億円 事務費に数百億円
賃金や労働時間の動向を把握する厚生労働省の「毎月勤労統計」の調査が不適切だった問題で、失業保険などの過少支給により延べ約1973万人に約537・5億円の追加給付を行う際に、システムの改修や人件費など事務経費が数百億円かかることが16日、分かった。追加給付費の総額は約800億円に膨らむ。システムの改修には数カ月かかり、実際の追加給付は来年度になる見通し。
厚労省によると、追加給付は個人約537・5億円のほかに、企業に対し雇用調整助成金などの過少支給があり約30億円を計上。事務経費には人件費や相談窓口の委託料、郵送料が含まれる。
書類の保管期限が過ぎて約1千万人の住所は不明だが、住所が特定できる人には個別に手紙を出して給付を知らせる。しかし追加給付の金額を確定させるためにはシステムの改修が必要で、現時点で手紙を出せる人はいないという。
事務経費は平成31年度予算案を組み替えて対応するが、雇用・労災保険の特別会計から捻出する方向でも検討。ただ、これらの財源となる保険料は、企業と労働者が支払っており、国のミスに対し、事実上、民間側の負担になることに批判が集まる可能性がある。
菅義偉官房長官は16日の記者会見で、この問題をめぐり「総務相が承認した内容とは異なる方法で調査を実施していた点は、統計法の規定に則していなかったのではないかと考えられる」と述べ、厚労省側に違法性の疑いがあるとの認識を示した。
一言コメント
追加給付だけでも大仕事になりそうだ。
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