<日露首脳会談>北方領土を非軍事化 安倍首相が提案
- 政治・経済
- 2018年11月18日
北方領土問題を巡る日露交渉で、安倍晋三首相が北方領土を非軍事化することをロシアのプーチン大統領に提案していたことが判明した。1956年の日ソ共同宣言に沿って歯舞(はぼまい)、色丹(しこたん)両島が返還された場合、日米安全保障条約に基づく米軍基地や自衛隊の基地を置かないと伝えることで、ロシア側の懸念を払拭(ふっしょく)する狙いがある。今後の交渉では、ロシアによる軍事化が進む択捉、国後両島の非軍事化も求める考えだ。ただ、米国が日本の方針に賛同するかは見通せない。ロシアが択捉、国後両島の非軍事化に同意する可能性も低く、交渉は難航しそうだ。
複数の日露関係筋によると、首相は2016年11月にペルー・リマで開かれた首脳会談で「北方領土は非軍事化するというのが日本の考え方だ」とプーチン氏に伝えた。ロシアは歯舞、色丹両島を日本に返還した場合、日米安保条約などに基づいて米軍基地が置かれることに強い懸念を示してきたとされる。同年12月のプーチン氏訪日を前に理解を求め、領土交渉の進展を促した形だ。日本は複数のルートを通じ、こうした立場をロシアに伝えたとみられる。
両首脳は14日の会談で、「平和条約締結後の歯舞群島と色丹島の引き渡し」を規定した日ソ共同宣言を基礎に平和条約交渉を加速させることで合意した。首相は16日にオーストラリア北部ダーウィンで開いた内外記者会見で、平和条約締結交渉の対象について「4島の帰属の問題だ」と表明。プーチン氏との合意について「領土問題を解決して平和条約を締結するという従来のわが国の方針と、何ら矛盾するものではない」と強調した。
北方領土の非軍事化は、日本と旧ソ連、ロシアとの領土交渉で度々取り上げられ、90年代初めにはロシアのエリツィン大統領(当時)が言及したこともあった。しかし、近年はロシアが択捉、国後両島の軍事化を進めており、政権幹部らからは「ロシアが両島の非軍事化に応じるのは難しい」との声が出ている。
一言コメント
今回もそう簡単にはいかないだろう。
コメントする