仮想通貨問題 兵庫県内の消費者相談、2年で10倍
- 詐欺・悪徳商法
- 2018年2月2日
仮想通貨取引所大手コインチェック(東京)で、顧客から預かっていた約580億円分の仮想通貨「NEM(ネム)」の流出が発覚してから2日で1週間。インターネットに常時つながった状態でネムを管理し、不正アクセスを許したセキュリティーの甘さに、顧客だった神戸市内の女性(50)は「ホームページで『安全』とうたっていたはずだ」と憤る。仮想通貨を巡る消費者相談は兵庫県内でも急増し、2年前の10倍超となっている。
この女性がコインチェックで仮想通貨の取引を始めたのは2016年1月。友人から値上がりする状況を聞いて興味を持った。ただし、「あくまでお小遣いレベル。最初から『なくなるかもしれない』という覚悟はあった」という。
その後、仮想通貨が使える店舗を開拓する仕事に就いたこともあり、購入量を増やしたが、リスクを減らすため9種類の仮想通貨に分散。預ける取引所もコインチェックを含め三つにした。ネムは昨年10月、1ネム24円ほどで千ネム(約2万4千円相当)を買った。年明けには9倍近い1ネム216円まで急騰していたが、そのタイミングでの流出だった。
女性は自身の損失よりずさんな安全管理が腹立たしいといい、「仮想通貨全体のイメージ低下にもつながる」。コインチェックの口座に預けていた仮想通貨は現在、全種類が出金できない。コインチェックはネムを保有していた約26万人に返金すると表明したが、時期や手続きは不透明だ。
仮想通貨を巡っては、昨年4月に施行された改正資金決済法で決済手段として認められ、現金と交換する取引所に登録制が導入されるなど、流通環境が急ピッチで整備された。投機熱の高まりも受け、急速に認知度が高まりつつある。
仮想通貨が使えるカフェを神戸・元町で営む女性(41)は「納得できるまで詳しい仕組みなどを聞いてから、昨年春に取引を決めた。購入を考えるなら、周囲に相談できる人をつくっておくことが大事」と指摘する。
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仮想通貨を巡る悪質な詐欺的行為も横行している。仮想通貨はネット上で取引される「電子データ」のため実物はないが、「おもちゃのようなコイン」を仮想通貨と称して高額で売り付けようとしたケースも確認されている。
兵庫県生活科学総合センターがまとめた県全体の相談件数も右肩上がりだ。15年度は10件だったが、17年度は昨年12月末時点で111件。このうち実際に現金のやりとりがあったのは43件で、「いつでも換金できる」などと取引の代行を持ち掛けられたり、「簡単にもうかる」としてノウハウなどの「情報商材」を売り付けられたりするパターンが目立つという。
同センターの担当者は「『絶対に安全』と言い切れる仮想通貨はないのが現状」と強調。情報商材などをネット通販で買った場合、無条件で契約を解除できるクーリングオフ制度は適用されず、「便乗したような悪質商法にも注意して」と呼び掛けている。同センター相談ダイヤルTEL078・303・0999
一言コメント
消費者センターに問い合わせたところで何も変わらない。
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