エルサレム首都認定 内向きトランプ流火種 大統領選公約守り反発招く
- 国際
- 2017年12月7日
トランプ米大統領がエルサレムをイスラエルの首都と認定し、大使館をテルアビブから移転することを決めたのは、昨年の大統領選での公約でもあった一連の措置を順守することで、自身の支持基盤である親イスラエル系の保守勢力やキリスト教福音派をつなぎ留めるという国内向けの政治判断の側面が強い。
在イスラエル大使館の移転はクリントン政権下の1995年に制定された米国内法で義務付けられているものの、歴代大統領はこれまで、中東の安全保障への影響に配慮して半年ごとに移転の判断を先延ばしする大統領令に署名してきた。
トランプ氏も今年6月、同氏の娘婿、クシュナー大統領上級顧問が取り組んでいる中東和平交渉を軌道に乗せるため、「移転の先延ばし」を一度は表明。しかし、これに対して福音派の支持層などの間で失望が広がり、その後は移転実施に急速に傾斜していた。
トランプ政権高官は5日、記者団に対し「過去22年間、米国が大使館の移転を自制したにもかかわらず中東和平は進展しなかった」と述べ、今回の措置は中東和平の行方には影響しないと主張した。
また、パレスチナ自治政府が将来の首都と位置づける東エルサレムについても「パレスチナの支配地域だ」と述べ、エルサレム全体がイスラエルの首都だとするイスラエル政府の立場を追認したわけではないとの認識を打ち出した。
シリアやレバノンなど中東や北アフリカでのイランの脅威をにらんで多くのアラブ諸国がイスラエルへの接近姿勢を強める中、今回の措置をアラブ諸国が受け入れ、自治政府も結果として追認するとの計算もあったとみられる。
しかし現実には、ティラーソン国務長官やマティス国防長官が懸念していたとされる通り、中東各地で反発が噴出。クシュナー氏が主導する中東和平交渉は頓挫する公算が大きいとの見方が強まっている。
また、米メディアによると、米情報機関は今回の措置がパレスチナやイスラム過激派による反イスラエル闘争に火をつける可能性が高いほか、中東での米国権益がテロ攻撃の標的にされかねないとの情勢認識を強めているという。
一言コメント
このことでまたどれほどの人が血を流すことになるのだろうか。
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