<小中教員不足>「担任すら決まらず」自治体間で講師争奪
- 政治・経済
- 2017年11月28日
各地の小中学校で教員不足が広がっている状況が、都道府県と政令市の67教育委員会を対象にした毎日新聞の調査で浮かんだ。定数からの不足数は今年度当初の時点で少なくとも357人。学校現場からは人手不足と過重労働への悲鳴が聞こえてくる。【渡辺暢】
「担任が決まらない教室すらある中、現場は疲弊している」。福岡県教組の本村隆幸書記長はため息をつく。大量退職後、教員は若返りが進んだが、その分、産休や育休の取得者が増えている。同県では5月1日現在、政令市の福岡、北九州両市を除いて29人が不足。公立幼稚園教諭や大学生が臨時免許を得て教壇に立つなど苦肉の策で対応してきた。
政令市を抱える県内では「県、政令市」と複数にまたがって臨時講師登録する人も多い。「補充のため声を掛けたら、既に他の自治体で働き始めていた」といったケースも珍しくなく、自治体間で「講師の争奪戦」(福岡市教委担当者)が起きているといわれる。
欠員補充については「教務主任でカバー」(群馬県)や「退職者に声を掛ける」(長崎県)など、各教委が頭を悩ませる。教科ごとに免許が異なる中学校では、技術・家庭科などで欠員が出た場合の補充が難しく、教員1人に複数の学校で授業してもらうこともあるという。
全教千葉教職員組合の寺田勝弘書記長は教員不足は児童・生徒にも影響すると指摘する。「欠員をカバーするための過重労働で、休職につながる悪循環もあり、子どもたちとの信頼関係も築けない」
本紙の調査では、大量退職後も多くの教委で正規採用を抑えがちだった。少子化による将来的な教員過剰や大量退職が繰り返されることを懸念したためとみられるが、寺田書記長は「臨時講師と正規教員で待遇に大きな差がある自治体もあり、臨時講師が集まらないことは明らかだ」と批判。「少人数学級を進める議論も行われており、正規採用を増やしても大きな問題にならない」と強調する。
文部科学省初等中等教育局の担当者は「教員志望者の減少と地域偏在がネックだ。要因も複雑で(教員不足の解消に向けた)対策は難しい」としている。
◇学力に影響も
増田修治・白梅学園大教授(教師教育論)の話 数字は氷山の一角だろう。年度途中になれば、定員からの不足は東京都内だけでも3桁に上るとみている。代替講師がいないのは、正規教員を減らしてきたつけだ。欠員状態が続けば子供たちの学力にも影響が出る。都道府県も市町村も解決に取り組む姿勢が必要だ。
一言コメント
全盛期の半分くらいしか子供がいないのに教師足りないのは不思議だ。
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