<大阪・摂津職員>カラ残業、焼却施設8人3年間 市が調査
- 公務員
- 2017年10月31日
大阪府摂津市のごみ焼却施設「市環境センター」で働く現業職員8人が2014~16年度、実際には働いていないのに残業手当を受け取る「カラ残業」をしていた疑いがあることが、内部資料や複数の関係者への取材で分かった。市は、夜間の運営を委託している民間業者との「引き継ぎ」名目で1日30分の残業を認めていたが、実際には残業前に引き継ぎが終わっていたという。市は勤務実態がなかった疑いがあるとして調査を始めた。
センターには、焼却炉が2基あり、24時間体制でごみを焼却している。市は職員減少などに伴い、14年度から夜間帯(午後5時~午前9時)の運営を民間業者に委託している。
市職員の勤務時間は条例などで午前8時45分~午後5時15分の7時間45分(休憩45分間)と決められている。ただ、業者と交代する際に引き継ぎが必要だとして、朝15分間、夕15分間の時間外勤務(残業)を3年間認めることが、14年2月の労使協議で決まった。
民間委託に伴う給与減の緩和措置という。残業手当は法律に基づいて割り増しされる。
この結果、センターの現業職員は書類上、残業30分間を含み、午前8時半~午後5時45分の8時間15分(休憩計1時間)働いたことになっていた。
しかし、複数の関係者によると、実際の引き継ぎは職員8人のうち、主任など2~3人で行い、トラブルがなければ数分間で終了。夕方の引き継ぎは午後5時前に終わり、タイムカードを押す5時45分まで休憩室などで待機していたという。
ある職員は取材に、「やることがないのに待機しろと言われ、おかしな話だと思っていた」と証言。別の職員は「タイムカードさえ押せば手当が出る仕組みだった」と明かす一方、「備品の在庫を数えるなど、自分なりに仕事を見つけていたつもりだ」と釈明した。
14~16年度のセンター長2人は取材に対し、「主任から出される時間外勤務命令簿とタイムカードを見比べてはんこ(決裁印)を押しただけ」などと話し、残業の実態を把握していないことを認めた。30分間の残業を認める制度は今年度からなくなった。
市の内部資料によると、残業手当は1人あたり年間約20万~50万円で、3年間で総額約700万円に上る。ある幹部は「実態はカラ残業だ。全庁で残業削減に取り組む中、許されない」と批判。大橋徹之・市長公室次長は「待機だけでは残業とは認められない。実態を調べる」と話している。【遠藤浩二】
◇絶えぬ公費ずさん支出
「カラ残業」は、過去にも大阪市や全国の労働局などで発覚し、公務員の厚遇ぶりや公費支出のずさんさが問題になってきた。
2004年11月、大阪市阿倍野区役所で「超過勤務命令簿」を偽造し、複数の職員に残業代を支給していたことがマスコミの報道で発覚した。その後、市の本庁や24区役所の大半でカラ残業が組織的に横行していることが明るみに出た。市の内部調査委員会は01~04年度で計2万5330件、総額約1億2290万円のカラ残業があったと発表。05年に処分された職員は7924人に上った。
一方、会計検査院は07年、全国の22労働局で不正に支出された残業代が1999~06年度で、計約1億5839万円に上ると発表。庁舎の施錠後も働いていたことにするケースもあり、厚生労働省は関係した641人を処分した。【遠藤浩二】
◆公務員のカラ残業が発覚した主な例◆
2016年9月 千葉市の消防署員ら26人が患者を搬送後に署に戻らず、時間をつぶして残業代を不正受給したと発表
07年11月 会計検査院が、全国22労働局で1999~06年度、カラ残業で計約1億5839万円が不適正支給されたと指摘
05年6月 大阪市の内部調査委員会が01~04年度に計2万5330件、約1億2290万円分のカラ残業があったと発表
00年4月 岡山市が94~99年度、ごみ収集の職員に残業代計約6500万円が不正支出されたと発表
1997年5月 京都市の清掃工場で長年にわたるカラ残業が発覚
一言コメント
残業代がでない会社がたくさん存在する時代でひどい話だ。
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