「アップルペイ」詐欺を全国初摘発 爆買い中国人かと思ったら…埼玉のコンビニでたばこ981カートン詐取 専門家「本人確認甘い」
- 詐欺・悪徳商法
- 2017年6月12日
昨秋登場した「iPhone(アイフォーン)7」の決済機能「アップルペイ」で大量の商品がだまし取られる事件を埼玉県警が全国で初めて摘発した。他人のクレジットカード情報を登録したアイフォーンを使う手口。店頭などの読み取り機にスマートフォンをタッチするだけで代金を支払える決済サービスが普及する中、専門家は「カード会社の本人確認が甘い」と指摘し、早急な対策を求めている。
たばこ981カートン
さいたま地検に詐欺罪で起訴された中国籍の于洋被告(29)の起訴状によると、川口市のコンビニエンスストアで3月26~27日、たばこ981カートン(約445万円分)を詐取したとされる。
県警によると、アップルペイを使った詐欺事件の摘発は全国初。1回の決済上限額は2万円で、被告は中国籍の男女3人と約10時間にわたり、未遂分も含めて決済を704回繰り返していた。対応したコンビニ店長は「爆買いの中国人」と思い不審に感じず、カード会社が県警に相談した。
2台のアイフォーンが使われ、それぞれ神奈川県の30代男性と埼玉県の20代女性のカード情報が登録されていた。何らかの原因で流出した情報が悪用されたとみられる。
大手カード会社によると、アップルペイを利用するには、カード情報登録のためにカード会社から送られる認証コードが必要。捜査関係者によると、今回の事件では「携帯電話の持ち主が変わった」などと偽り、認証コードをカード名義人とは別のメールアドレスに送らせていた。
県警が情報交換会
アイフォーンのシェアが高い日本でのアップルペイ導入は、注目を集めた。関係者は「カード会社がより多くの利用者を取り込もうとして、本人確認が緩くなったのでは」と指摘する。
クレジットカードのセキュリティーに詳しいFJコンサルティング(東京)の瀬田陽介社長は、アップルペイを不正使用した事件は既に中国でもあったとして「本人確認を強化しないと、日本でも被害が繰り返される」と警鐘を鳴らす。
東京五輪を控え、電子決済利用者はさらに増えることが予想される。事態を重く見た県警は、カード会社を集めて再発防止に向けた情報交換会を開催。県警幹部は「セキュリティーの確保はますます重要になる」と危機感を募らせている。
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