地元住民「うかつに近づけない」 中国の邦人拘束現場
- 国際
- 2017年5月24日
中国で3月下旬に日本人会社員6人が拘束された事件で、6人はいずれもリゾート開発が進む地域で温泉開発の調査をしていた。中国では軍事管理区域もあいまいで、測量なども厳しく管理されており、外国人にはリスクも高い。地質調査をしていたのはどんな場所だったのか。記者が23日、6人が拘束された山東省と海南省の現地を訪ねた。
日本地下探査(千葉県)の社員ら3人が拘束された山東省煙台市の蓬萊。古くから海辺の景勝地として知られ、リゾート開発が進んでいた。住民によると、海岸から40キロほど離れた山間部に温泉の源泉が複数あり、2005年には近郊に温泉リゾート施設が開業。15年にも新たな温泉リゾート施設の計画が明らかになり、3人はこの周辺で調査をしていた可能性がある。
住民から気になる話を聞いた。周辺の山は3~4月にかけて「山火事防止」のため立ち入り禁止になっていた。さらに近年、山間部に複数あった軍事施設が別の場所に移転したという。また、多くの港湾がある山東省には青島や威海に軍港があり、蓬萊にも小規模な軍の港湾施設があるという。この住民は「山間部にもレーダーやミサイルなどの軍事基地がひそかにできていることがあり、うかつに近づけない」と話す。この日も、周辺の道路を資材を積んだ軍用トラックの隊列が通っていた。
ある住民は「青島や威海では外国人が拘束されたとよく聞くが、蓬萊では珍しい」と話した。
一方、別の3人が拘束された中国南部の海南島。3人が調査していたとされる島最高峰の五指山(標高約1870メートル)の周辺も高級リゾート地だった。
「温泉が出るので外国人もよく来るし、ホテルも相次いで開業している」と周辺のホテル従業員(55)は話した。一帯は温泉資源が豊富で、十数年前、日本人が温泉付きホテルをつくり、開発が本格化。ゴルフ場や別荘も急速に整備されている。従業員は日本人が最近、周辺で作業していたことは知らないという。
コメントする