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【週刊現代】【218人処分の自衛隊不祥事】現場からは処分に不満が噴出…!「潜水手当の不正受給」で処分された海上自衛隊幹部が怒りの告白、「トップ連中も現場時代は全員『水増し』をやっていた」


218人が大量処分された前代未聞の連続不祥事。防衛大臣は膿を出し切ったつもりかもしれないが、現場では処分への不満が渦巻いている。海自にはびこってきた「悪しき慣習」の実態を明かす。

前編記事「なぜ俺たちだけなのか…!前代未聞の大量218人処分、「潜水手当の不正自給」で処分された海上自衛隊の「エリート潜水士」が明かした「不平等すぎる調査の中身」」では海上自衛隊での大量処分の実態について紹介してきた。続くこの後編記事では不正受給の起きる原因と、処分後の海上自衛隊内の実情を引き続き紹介していく。

先輩から教えられてきた

本誌は今回、「ちはや」の元潜水士で、重い処分を下された幹部自衛官のB氏にも取材。B氏は海上自衛隊の訓練実態をこう証言する。

「訓練時間が50分しか取れなくても1時間として申請する。こういったことは海自全体の常識でした。私自身、先輩から『艦のために頑張っている潜水士に少しでも手当をつけるため』と教えられていた。

訓練は決められた時間に行われますが、出航中は艦の運航や緊急事態に備えた配備があるため、隊員全員が時間通りに訓練できるわけではない。1時間の訓練時間があっても、実際には50分しか水に潜れない人もいるわけです。だからこそ、少し『水増し』して申請することが、現場の慣習となっていました」

各自の訓練実態は「潜水経歴」という書類に記載され、経理などがチェックしたうえで、現場トップである艦長がハンコをついて「手当」が支払われていたという。

B氏が続ける。

「私の手元にある『潜水経歴』には、ちゃんと訓練実態が記載されている。しかし調査では、『命令と実施要領が残っていない訓練は認められない』として、訓練自体をなかったことにされたのです。私の場合、毎月4万円や5万円といった『手当』が支払われていましたが、すべてが『不正受給』とみなされた。その根拠も示されていない。

『ちはや』にしろ『ちよだ』にしろ、出航中に訓練命令や実施要領を作成したことはありませんし、定期的に行われている監査でも命令や実施要領がないと指摘を受けたことはありません。そもそも、訓練をしたかどうか、どれだけの深度でどれだけの時間だったのかは調査しようがない。にもかかわらず、すべての訓練をなかったことにするのは、あまりにも横暴なやり方です」

海自の人間なら誰でも知っている

潜水士たちは訓練時間を水増し申請していた事実は認めており、それについては反省しているという。しかし一方で、「なぜ、俺たちだけなのか」という憤りも強い。

B氏が言う。

「潜水手当の水増しが行われていたことは、海上自衛隊の人間なら誰でも知っていますし、潜水士に限らずどの部隊でも似たようなことは行われてきた。現在の海自の幹部たちも、現場時代には同じことをやっていたのは間違いありません。

私も長年組織に勤めてきましたから、問題になったからには何らかの処分を下さなければいけないことは理解している。しかし、それが免職や長期の停職というのは重すぎますし、ましてや現場の人間だけに責任を負わせるのは理不尽です」

パワハラは例外として、「特定秘密の取り扱い」や「無料支給される食事の飲食」についても、「潜水手当」と同じく、いわば慣習になっていた。

「艦内の『戦闘指揮所(CIC)』に新人隊員を入れていたことが問題になりましたが、これも現場では当たり前に行われていました。CICには『適性評価』を受けていないと入れないことになっていますが、その申請には時間がかかる。一方で艦の人手は常に不足していましたから、申請の許可を待っていては業務が回らないのです。

飲食についてはもっと細かい話で、食事係の隊員は基地内で自分が作ったものを自分で食べていましたが、基地外に住んでいるなら代金を払わないとダメだったということ。これも暗黙の了解で容認されてきたと聞いています」(別の海自隊員)

なぜ一斉に処分されたのか

複数の現役隊員の証言によると、それぞれの不祥事は、個別に発覚し調査が行われてきた。

「潜水手当の不正受給」は、’22年に行われた定期監察での佐世保基地の隊員の告発により問題化。「特定秘密」は、’23年1月に起きた護衛艦「いなづま」が座礁した事故の調査で、資格のない隊員がCICに入っていたことが発覚。「飲食」は’22年に内部通報があったことで調査が開始されたとされる。

では、別問題の不祥事が、一斉に処分されたのはなぜか。海自内部では、8月に交代することが決まっていた酒井良・前海上幕僚長に責任を負わせたのではないか、ということが「定説」になっている。

海自幹部が明かす。

「急増している中国による領海侵犯への備えに加え、防衛予算の大幅な増大で現場隊員の作業量は膨大になっている。組織内にはさまざまなひずみが生じており、一連の不祥事もそれが顕在化したといえる。

自衛隊を統括する防衛省の背広組としては、引き締めの意味で大量処分をせざるを得ないと判断し、海自は酒井前幕僚長の交代のタイミングに合わせてもらったということだろう。政治問題にならぬよう、国会閉会を待って処分したという見方もできる」

自衛隊の組織の特殊性

防衛省・自衛隊の内部事情に精通し、『日本の国防』の著書もある共同通信特別編集委員の久江雅彦氏は、こう指摘する。

「この組織は背広組(官僚)と制服組(自衛官)に深い断層があり、さらに制服組は陸海空、そして職種・職域ごとに縦割り化している。内向きで閉ざされた個々の組織の集合体といえます。当然のことながら、馴れ合いともたれ合いの温床に転じやすい。一連の不祥事は、こうした組織の特殊性に起因しています。

防衛省事務方や海上自衛隊のトップ、現場の自衛官は処分されましたが、弥縫策です。潜水手当の不正受給などに関与してきた自衛官は、過去を遡れば相当数にのぼる。不祥事のすべてについて、いつから始まり、誰が関わってきたのかを徹底的に調べなければ、構造的な改革に踏み込むことはできません」

一連の不祥事とその処分について、本誌は海自と防衛省に質問書を送った。

まず、調査期間を’17年4月~’22年10月までの約5年半としたことについて、海上自衛隊は次のように回答。

「本事案は、事案発覚時に潜水手当支給に関係する書類が保存されていた平成29年度(’17年度)以降を対象として調査を実施したところです。また、事実関係を確認するための関係書類の保存期間が過ぎていることから、これ以上の過去について調査を行うことは困難です。なお、現在も調査は継続中です」

また、潜水手当の不正受給について、処分の重さをどのように決めたかについてはこう回答した。

「個々の懲戒処分(処分量定)については、不正受給額、受給した機関、不正への関与の度合い、職責、過去の処分事例等を総合的に勘案して決定しています」

さらに、処分の発表を7月12日に一斉に行ったことについては、防衛省が次のように回答した。

「事案ごとに個別具体的な状況に即して必要な調査等を行い、それぞれが一定程度取りまとまったタイミングである7月12日に、それぞれ公表を行ったものです」

現場は深刻な人手不足

潜水手当の不正受給によって処分された現場隊員のなかには、今後、情報開示請求や不服申し立てを行う人も少なくない。前出のA氏は、組織への思いとともに、こんな懸念も口にした。

「処分が明けたとしても、自衛隊を続けるかどうかは決めかねています。トカゲのしっぽ切りのように我々現場だけを処分した組織に対し、呆れと不信感が強い。仲間もみんな同じ思いです。

また今回、潜水士の大半が処分されたことにより、現場は大変な人手不足に陥っている。万が一、いま海難事故が起きても、救助は不可能だと思います。大量処分によってこういった状況になることは、容易に想像できたはず。上の判断は、自衛隊が最も重視すべきことを、ないがしろにしているとしか思えません」

不祥事に厳正に対処するのは当然だ。だがはたして、やり方は適正だったのか。いま、自衛隊の現場隊員の士気は著しく低下している。

「週刊現代」2024年8月10・17日合併号より

 現代ビジネス

livedoornewsより転用


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