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アングル:パリ五輪、ホテルや航空券は予約低調 価格高騰と治安懸念が影


パリ五輪は経済効果にも期待がかかっているが、実際には旅費や宿泊費の高騰、フランスの政情不安や治安への懸念から多くのスポーツファンや観光客がパリ行きを避けており、予約は低調だ。

航空券データ会社フォワードキーズによると、6月6日以降の期間はパリ行き航空券の予約が前年比10%増にとどまる見通しとなっている。2016年リオ大会で海外からの訪問者数が115%増加したのとは対照的で、コロナ禍中に開催された東京大会でさえ20%増だった。

コンサルタント会社MKGのデータからは、五輪開幕前の数週間のホテル予約は昨年から減少しており、6月は約25%の減収となったことが分かる。

旅行代理店やスポーツファン、チケット販売業者への取材からも、熱烈な五輪ファンでさえパリ行きに消極的な実態が見えてきた。

米国を拠点とするスポーツ旅行代理業者のアラン・バチャンド氏は「過去25年間のほとんどのスポーツイベントに比べ、最も低い予約状況になっている」と言う。

こうした状況からは、国際的なスポーツ大会の主催都市が直面する課題が浮かび上がる。大都市はただでさえ混雑して物価が高いため、価格に敏感な消費者は避けて通るようになっている。

予約が低調な背景には、コロナ禍後、旅行者が商品よりも体験にお金を使いたがるようになった流れが、諸々の値上がりを受けて鈍りつつある、という要因もある。

ロンドンは2012年の五輪で似たような経験をした。通常なら夏のロンドンは旅行者であふれかえるが、この年は3%増にとどまった。

とはいえ、パリにとって痛手なのは間違いない。最近のある調査では、五輪によるパリ一帯への経済効果は最大120億ドル(1兆9350億円)と試算されている。

<夜行バスで節約>

エマ・マティソンさん(29)は、8月9日にリヨンで開催されるサッカー女子の3位決定戦のチケットを持っており、翌日にパリで開催される決勝戦のチケットも手に入れたいと考えている。

だが試合後は宿泊せず、夜行バスでロンドンに戻る予定。1泊300ユーロ(5万2250円)以上の宿泊費は予算オーバーだ。「もっとリーズナブルなら、女子の試合やグループステージの試合をもっと見たかった」と悔しがる。

パリ市観光局によると、7月26日から8月11日までのホテルの平均価格は昨年から70%急騰し、1泊342ユーロになった。

裕福な観光客でさえパリ行きを敬遠している。バチャンド氏によると、4つ星ホテルは五輪期間中の料金が1泊最高1000ユーロに跳ね上がったため、多くの客が予約を思いとどまっている。

一方で、米民泊仲介サイトのAirbnb(エアービーアンドビー)では、パリの予約数が過去最高に達している。3月時点で、大会期間中のパリの宿泊予約件数は前年同期比で400%増だった。

<治安に不安>

しかし、仏航空大手エールフランスは1日、旅行者が五輪を避ける結果、夏の売り上げは予想を下回るとの見通しを示した。

高級旅行代理店のグローバル・トラベル・モーメンツ社によると、顧客は旅行を見送る理由として、料金以外にも治安を巡る不安を挙げている。

フランスは五輪開催に加え、議会下院選挙の決戦投票も控えて最高レベルの治安警備態勢を敷いている。

パリのローラン・ヌニェ警察署長は6月、イスラム主義者によるテロが最大の懸案事項だと述べた。

<駆け込みに期待>

一部の旅行代理店は、五輪開幕前の最後の数週間にチケットや宿泊の予約ラッシュが起こったり、値引きが実施されたりする可能性に期待を寄せている。

短期賃貸分析会社エアDNAのチーフエコノミスト、ジェイミー・レイン氏は、旅行客は電車や自動車でパリを訪れる可能性があり、直前に賃貸予約が急増するかもしれないと述べた。

高速鉄道ユーロスターによると、五輪・パラリンピック期間中の切符販売は、7月1日現在で前年同期比7%増だった。

ロイターより転用

ロイター

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