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1日1万3000個売れる「老祥記」の豚まん、世界視野「BUTAMAN」への進化を模索


 神戸の名物の一つに挙げられる「豚まん」。神戸市内には老舗専門店も多く、地域住民はもちろん、観光客にも愛される味だ。誕生から1世紀以上が過ぎた今、伝統を守りつつ、さらなる進化を模索する動きもある。(喜多河孝康)

■神戸の中華街に行列

 神戸市の中華街・南京町の中心部にある南京町広場では、「老祥記」の豚まんを買い求める人が長蛇の列を作る。1個あたり100円(税込み)で売られている「豚饅頭(まんじゅう)」は、子どものこぶしほどの大きさで、1日平均で1万3000個ほど売れるという。

 1915年創業で、「日本の豚まん発祥の店」とされる同店。中国から来日した初代店主と日本人の妻が、中国の饅頭「天津包子」を日本人好みの味付けにするなどした。手頃で、手軽に食べられると人気を呼び、その後、多くの専門店が軒を連ねるようになった。

 受け継がれてきた味を守る3代目の曹英生さんは、世界に豚まんを広めることを掲げる。コロナ禍で減少していたインバウンド(訪日外国人客)が回復し、今年2月の春節祭では、3日間で外国人観光客を含む約17万人が訪れた。「世界中に『BUTAMAN』という名で親しまれるようになりたい」と意気込む。

■地域一体で文化に

 文化として、豚まんを広めようとする動きもある。

 2011年、「三宮一貫楼」の常務の安藤孝志さんが「豚まんを通じて神戸を盛り上げたい」と呼びかけ、始まった「KOBE豚饅サミット」。ほぼ毎年開催され、多くの来場者でにぎわう。これまで、一般的な豚まんだけでなく、トリュフやオマールエビを使ったものなど、オリジナルの豚まんを販売。安藤さんが老舗パン店「イスズベーカリー」などに依頼して作った「豚パン」も出品される。

 安藤さんは「新しい豚まんの店が増えれば、もっと盛り上がる。他業種も大歓迎だ」と狙いを話す。従来の豚まんという概念にこだわらず、異業種とも協力することで、地域が一体となることを期待する。

■形を変えながらも愛される

 神戸に根付いてきた「豚まん」。曹さんは「先人から受け継がれてきたものがあるからこそ、豚まんは形を変えながらでも、老若男女を問わず、愛されていると思う」と話す。

 老祥記では22年から、市内の飲食業者とコラボした豚まんを期間限定販売し、収益で食育事業を行う「ドリーム豚饅プロジェクト」を始めた。「選択肢が多くなればなるほど盛り上がる」と曹さん。

 神戸を代表する食文化の一つとして、豚まんはこれからも進化していく。

読売新聞より転用


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